「景さん、今更なんだけど。あれなに?」
「イマジンです」
「いま、じん?」
「イマジンです」
神谷道場の稽古場に正座しながら、しとりと剣路君の稽古で賑わう中、いきなりそんなことを訊ねてきた薫さんに少し戸惑いつつ、答える。
「いまじんって、なにかしら?」
私の答えに首を傾げる薫さん。まあ、当然の反応と言えば当然の反応ですが、他の人は何故か「ああ、また糸色のところか」という態度です。
本当に失礼な人ばかりです。
私自身は、こういう変な事や危ない事に巻き込まれている側の人間ですし、あまり派手に動いている訳でも文明開化を────ほんの一部だけ手伝っているだけなので違います。
「変わった人もいるのね。あれも妖怪?」
「どちらかと言えば人間ですね。見た目なんて些細な事ですし、妖怪も優しく真面目な存在もいますから、それと同じです」
「あの河童と同じなんだ」
「えぇ、あの河童さんです」
「オレって河童扱いなのか?」
「狛犬に見えるでござるよ」
そう話し合っている傍らで困惑するソウタロスと、彼の背中を軽く叩いて励ます緋村剣心。でも、この表現をする意外に方法は何もないですよ?
「んーっ!!まけた!」
「んみゅ、んむぅー」
膨れっ面のしとりが悔しそうに私の抱っこしているひとえに飛び付き、うにうにと彼女の頬っぺたを撫でさわって悔しさを発散している。
かわいいですね♪︎
「糸色殿、いまじんとは結局なんでござるか?」
「……本人がいるのに何故私に?」
「いや、糸色殿の方が詳しそうなので」
まあ、言いたいことは分かります。
仕方ないので、ゆっくりと分かりやすくイマジンについて教えてあげることにしました。かなりSFですし、明治時代に理解して貰える相手は同じ転生者だけです。
「時の列車…」
「未来から来る……」
「(予想していたように、普通はこうなりますよね)」
左之助さんも普通はこうなるのでしょうが、私と長くいるせいか。少し変な出来事に対する感覚が麻痺してしまっているように感じます。
それはまあ別に良いんですけど。
「まさか糸色殿も未来から!?」
「緋村さん、流石に怒りますよ?」
私にはお父様もお母様もいます。左之助さん、しとり、ひとえ、これから未来に生まれる沢山の子供達もいるんですからね?
そういう雑な考察は許しませんよ。
「剣心、冗談でも言っちゃ駄目よ!」
「うっ、すまないでござる」
「良いです。私はお友達に信じて貰えれば」
「景さん…!」
にっこりとお互いに笑い合って話し合う。緋村剣心は少し寂しそうですが、私の事を怪人扱いしたから許してあげません!