戦闘服に変化する前の装飾は派手さを抜き、より堅実な忍者という雰囲気を醸し出す忍び装束にしているけれど。ドクトル・バタフライによって蝶の装飾が小さく刻まれてしまっている。
「蝶々はやめませんか?」
「製作元を教えるのは大事では?」
「まあ、そうですけど」
雷と蝶のマークは何とも言えませんね。しかし、東京に戻ったらまた般若か他の御庭番衆の方々に装着して貰えるように準備しておかないとですね。
『忍風館』と『迅雷塾』に『伊賀崎流』、更には『戸隠流』まで参列しています。ちょうど百年前に当たりますし、両流派は親善試合という名目で、糸色家に売り込みを行っているのでしょうね。
この御時世では忍者の役割はほぼ無くなり、農民や漁民など普通の生活を送ることになっていたでしょう。そんな時に江戸幕府の設立した新参の御庭番衆が、新しく忍びとして仕える相手を見つけた。
こうして形振り構わずに呼び出す事態になっているのも仕方ないのでしょうが、いっそのこと全流派纏めて雅桐銀行に行けば良いのでは無いでしょうか?
「相楽カッケマッ、手が止まってるわよ」
「ああ、すみません。少し考え事を…」
「アタシが言うのは違うかもだけど。頼るときは頼りなさいよ、ただでさえ巻き込まれやすい体質なんだから。もしものときは全部蹴っ飛ばしてあげる」
「……フフ、期待していますね」
「お前らホントに仲良しだよな」
そう呟く不破信二の言葉にキョトンとしてしまう。
確かにススハムとは仲良しですが、そこまで驚くようなことなのだろうか。私とススハムは同じ体験を歩んだ大切な親友なんですから当たり前だと思う。
「信二、アンタ友達いないもんね」
「いや、左之助とかいるし」
「私の夫はあげませんよ?」
「そういう意味じゃないんだけど」
そういう意味もどういう意味も関係ありません。私の左之助さんなんです、私だけが彼を愛して、彼に愛してもらえる場所を独り占めしたいんです。
そう心の中で思いながら、にっこりと不破信二に微笑んであげると「悪かったって」と謝ってきた。……私の笑顔ってやっぱり怪しいんですかね。
「先ずは一着目の完成だ」
「二着目を作りましょうか」
「いや、ここはフエルミラーを使おう」
「賢いわね」
「確かに効率化出来ますね」
同品質のため性能に差を感じることはないでしょうし、何より材料のコスト削減も行える。流石はドクトル・バタフライです。
「あとは武器の造形を決めましょう」
「拳」
「信二君、修羅基準に考えるのはやめたまえ」
とうとうドクトル・バタフライも注意してますね。