般若の放った「電光暴流」によって牙忍と陸忍の二人は気を失ってしまい、もしもの場合に備えて控えていた救護班の方々の的確な処置を受けています。
しかし、忍風館と迅雷塾の両流派からすれば初戦で負けた事実は辛いのでしょう。お父様の注目を集めれば糸色家直属のお仕えになることは出来るけれど。
一戦目でどちらも負けた。
「母様、すごいね!」
「ぴかぴか!」
「フフ、そうですね」
興奮冷めやらぬ姉妹の事を優しく撫でてあげながら傷を負って戻ってきた般若に「お疲れ様でした。今は休んで下さいね」と言葉を掛けると片膝を突いて、静かに「御意。ご厚意痛み入ります」と返されてしまった。
……私は絵草紙に喜んでいる時の般若のほうが好きですね。あっちのほうが親近感も持てますし、クールに気取るより親しみやすい方が、しとりとひとえに仕えることになったときも必要ですし。
そう思いながら左之助さんを見上げる。
ものすごく戦いたそうにしているものの、この親善試合は私の生家に仕える隠密組織を決める場でもありますから、左之助さんは戦っちゃダメです。
「糸色殿、一つ聞きたいんだが雷撃の範囲おかしくなかったかのう?」
「モデレーター……コホン、あの忍び装束は不破信二と互角に渡り合えるように設定していますので、あれがギリギリ人間の纏える最大出力です」
柏崎さんの疑問に答えると左之助さんが「あんな化け物と人間を比べるなよ」と呆れと哀れみを混ぜた視線を向けてきました。
でも、ススハムにすると誰も追い付けません。左之助さんだと一撃の破壊力が有りすぎて、絶対に強化服の防御力を上回って破壊するじゃないですか。
「二戦目は忍風館より水忍、迅雷塾より羽忍、御庭番衆より雷電、参られよ!」
その言葉を聞いて水忍と羽忍は動き、御庭番衆の二番手である式尉は少し困ったように後頭部を軽く掻き、二人の女性の待つ採石場の真ん中に立つ。
「景、式尉は女と戦えるのか?」
「戦えます。昔、鎌足お義姉様と戦っていましたから。それに式尉さんは四乃森さんが般若さん同様に片腕と認める実力者なんですよ?」
そう言って私は採石場を見つめる。
個人的には刀剣や銃弾を通さない筋肉を手に入れた彼をどうやって倒すのかが気になります。正直、パワーだけなら式尉は不破信二に迫ります。
人間レベルの相手なら最強です。
ドロドロやヒトカラゲ、ナナシなど複数の戦闘員を見て分かったのは、彼らの強さは不破信二の二割にも満たない。おそらく怪人で不破信二の強さのギリギリ四割ぐらいでしょうね。