某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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最強の剣客 序

「それじゃあ始めるとするか。構えな」

 

「フン。たった一人の助っ人で戦局を覆せるものか!剣一本ごときで儂の攻撃を凌げると本気で思っているのなら思い上がりも甚だしいわい!」

 

「あーっ、悪いが俺はボケた爺さんの独り言に付き合うつもりはないんでな、余所でやって来れ。俺の相手は爺さんじゃなく、その『破軍』の不二だ」

 

「き、貴様ァ!?不二、殺れ!お前は儂の手足となって戦えば良いのだ!誰がお前に戦う術を教え、導き、そこまで育ててやったと思っている!」

 

ゆっくりと私達の傍を離れるように歩き出す比古清十郎の背中を見つめながら、喧々囂々と叫び喚く才槌の傲慢すぎる言葉に私はどうしようもない不快感を抱く。

 

確かに、私も知恵に頼る人間だけど。

 

自分の教え子や育てた子供の才能を自分の実力と思い込み、我が物顔で指示する姿は醜悪その物だ。ひょっとしたら、私も端から見ればそうなのだろうか。

 

「爺さん、二度は言わん。静かにしていろ」

 

そう比古清十郎が言った瞬間、私の身体に悪寒が走り、一歩、二歩、気がつけば後ろに震える足で後退りながら彼の鋭い気迫に冷や汗が止まらなくなる。

 

当然、その威圧を余波ではなく一身に受けていた才槌は余りの恐怖に失神し、不二の手のひらに立つことも出来ず、辛うじて残った半壊寸前の「葵屋」の屋根へと不二の手によって丁重に置かれる。

 

「どんな悪党でも育ての親というわけか…」

 

不二は比古清十郎の呟きに応えず、ただ真剣に野太刀を大上段に構える。

 

しかし、その眼差しは才槌の傀儡に徹していた頃とは違い、明確に闘志の灯った眼差しを比古清十郎に向け、兜の結びを噛み千切り、一切の防御を捨て去った一撃必殺の構えは才槌を抱えていた時の片手上段ではなく、正真正銘の両手で柄を握り締める。

 

「……い…いざ…!」

 

「尋常に!」

 

「「勝負ッ!!!」」

 

不二の地面を粉砕する野太刀の一撃に大地は揺らぎ、私はバランスを保てずに転びそうになったところを柏崎さんに支えて貰い、比古清十郎と不二の戦いを見続ける。

 

「おおぉおおぉおっ!!!!」

 

「良い気迫だ!だが、俺には勝てん!」

 

その宣言と共に繰り出されたのは九つの斬撃を同時に放つ飛天御剣流「九頭龍閃」だった。本来ならば、この攻撃を受けた不二は比古清十郎に負ける。

 

───その筈だった。

 

「ホウ。俺の九頭龍閃に耐えるか」

 

「…まだ、負け…ぬ…ッ!…」

 

対面の家屋の屋根に着地した比古清十郎は感心した様に言葉を紡ぎ、必殺の剣技をギリギリで耐えきった不二の気迫と意地を称賛する。

 

 

 

 

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