午前11時11分11秒。
懐中時計を見て時間を計りつつ、玄関を開けると一面が砂と岩で覆われた世界に入る。時間の流れ。時間の中。そういう世界と場所だ。
「なんか懐かしい気がする」
「イマジンですものね」
私の言葉にソウタロスは頷きながらライダーパスを取り出すと同時にデンライナー・ゴウカが目の前に停車し、独特の機械音を奏でて乗降口を開く。
「コーヒーいかがですかあ?」
「え、あ、おう」
「ありがとうございます」
戸惑うソウタロスは恐る恐るコーヒーカップを受け取り、私は火傷しないように吐息を吹き掛けつつ、昇りやすい様に階段を付け足して貰う。
……美味しいですね、レシピが気になる。
少しだけ目を細めるとコーヒーレシピが見えるけど。銀色のトレイがコーヒーと私を遮る。にっこりと微笑んでいるナオミさんの笑顔が怖い。
まあ、今のは私が悪かったですね。
「うまいなこれっ!?」
デンライナーの食堂に案内して貰う途中、何人かに見られる。しかし、私の名前を呟くだけで誰も話し掛けてくることはなかった。
「あれが世界の黒幕」とか呟いている人がいますけど。どうして、みんな私の事を黒幕や悪役だと思っているのでしょうか?と首を傾げる。
「おや、随分と珍しい方が来ましたねえ?」
「うおっ、なんか知ってるオッサンだ!?」
「オッサンではなくオーナーと」
「オーナー、おう、オーナーだな」
ウンウンと頷くソウタロスと一緒に食堂に入った瞬間、やっぱり彼らは存在していた。ちょうど世代的に見ることの多かったイマジン達が、みんな揃っています。
「あ?誰だテメェら」
「……モモタロス。知っているぞ、モモタロスだ」
「イマジンが契約者連れて乗り込んでくるなんざ良い度胸しているじゃねえか。で、どういう用件で乗り込んで来やがった?」
「オレの事を知らないか?」
凄みを向ける赤鬼のように見えるけど、どこかヒーローにも見えるイマジンのモモタロスにソウタロスは質問を質問で返してしまった。
「あァ?……ちょっと待て、クマ、カメ、小僧!」
一瞬、怪訝そうにするもゴシゴシと目尻を擦って何度もソウタロスと私の事を交互に見つめていたモモタロスは大きな声でコーヒーを飲んでいたり、イビキを掻いて眠る、お絵描きをしている三人のイマジンの事を呼び出す。
「もう何なのさ、センパイ」
「うるさいで、モモの字!」
「ボクお絵描きしてるんだけど?」
「あれ!あれ、見ろよ!ヨシミだよ!!」
よしみ?と私達は顔を見合わせる。
「わあぁー!ホントだ、ヨシミばあちゃんだ!」
「ば、ばあちゃん」
まだ二十代なのに、ばあちゃんですか。
なんだか泣きそうになりますね。ぐすん。