デンライナー・ゴウカの食堂を出て、リュウタロスに似顔絵を描いて貰えた事を喜びつつ、オーナーに「次の御乗車をお待ちしていますよ、糸色さん」と言われた。
私はもう一度デンライナーに乗ることになるというわけなのですが、流石に憑依されて戦うことになるのはイヤです。怖いですし、痛いのはイヤです。
「糸色、ありがとうな」
「フフ、手懸かり見つかりましたね」
「ああ、コイツはオレの手懸かりだ」
ライダーパスを握り締めるソウタロスの姿が一瞬だけ普通の青年のように見えた。目の錯覚にしては随分とタイミングを見計らっている。
まだ彼と繋がる『特異点』の姿が、あの青年なのでしょうね。いつか巡り会えると良いんですが、いつの未来か過去かも分かりませんね。
「……景、ソイツと何処に行ってた?」
「ひゃあっ!?」
ビクリと身体を跳ね上げて後ろに振り返ると左之助さんがこめかみに青筋を立てて、私とソウタロスの事を見下ろしているのが見えました。
「オレ探しの散歩だ。少なくとも、ちゃんとした手懸かりを手に入れることは出来た。左之助、アンタがオレを此処に置いてくれたおかげだ。ありがとう」
深々と私の隣に立っていたソウタロスは頭を下げ、時間の流れを見ることが出来なくなった玄関先で左之助さんに感謝の言葉を伝えている。
その様子に左之助さんも驚き、怒り掛けていたのに今度は困ったように頭を掻き、静かに「まあ、大事なモンを見つけたならそれで良い」と呟いた。
ほうっと安堵の吐息をこぼして、喧嘩にならなくて良かったと安心する私の肩に手が置かれ、ニッコリと微笑んでいる左之助さんが居ました。
「ソウタロスは先に上がってろ。オレは景に聞きたいことが沢山出来たからな、裏手の倉に行って二人で話してくるからよ。ああ、手は洗えよ?」
「おう!」
嬉しそうに家に入るソウタロスに続こうとする私の肩を抱き、ジッと大きく瞳孔の開いた目が私の事を見つめている。怖くて恐ろしい黒い瞳だというのに────。
私は答える間も言い訳する間もなく裏手の倉に連れ込まれて、左之助さんに見下ろされている。
「は、話をきんッ…ッ、んん…!」
覆い被さるように身体を押さえ込まれ、深く蕩けるようなキスをされる。まるで刻むように、忘れないように、覚えておけるように、深く永く愛しく全霊の愛情と執着心が私を支配していく。
「ッ、けほっ、えほっ!いきなり、ひどいです」
「浮気はしてねえのは分かってるがお前が何も言わずに家を出るのは可笑しいからな」
それは、そうですけど。