左之助さんと稽古をしていたしとりの動きは薫さんではなく姿お兄様や緋村剣心に酷似している。しとり曰く「見てたら出来た」とのことですけど。
この子にも私の『特典』か変わって遺伝しているのか。それとも彼女独自の観察眼を身に付けてしまっているのかも知れませんね。
それでいて身体の頑丈さは左之助さんに似ていて、普通なら大怪我を負う筈の二重の極みを竹刀越しとは言えど受け止め切った。
偶々神谷道場に遊びに来ていた恵さんに見て貰えたけれど。彼女もしとりとひとえの身体の強さに感心し、モチモチとした姉妹の頬っぺたを堪能している。
「本当に怪我してないのか?」
「えぇ、むしろ子供にしたら頑丈すぎるわね。おまけに景さんに似て、二人とも賢いから強くて賢い女の子になっちゃうわね」
「遠回しにオレをバカって言ってんのか?」
「そう言われたくなかったら診察台に寝ずに真面目に聞きなさい。そこに座る許可を出したのは景さんだけよ、このおたんこなす」
「断る。景の膝はオレのだ」
話が噛み合っていないように思いながらもしとりとひとえの二人は私の病気を遺伝しておらず、至って健康的な身体をしているわけですね。
フフ、それなら良かったです。
もしものときに左之助さんを独りぼっちにしないで済みますし、最悪の場合はあの世を題材にしたものを描くことになりそうでしたし。
「ねーしゃま、よかったね」
「ん!ありがとう、ひーちゃん!」
この子達の天真爛漫な笑顔が翳ることなく、みんなを照らして歩いていければ良いんですが、しとりは『ゴールデンカムイ』と『妖逆門』に関わるでしょうし、ひとえも『ゴールデンカムイ』に関わることになる。
その時、しとりはどうするのか。
まだ子供の貴女に重荷を背負わせてしまう不甲斐ない母です。出来れば仲良くして危ないことには関わって欲しくないのですが、なんとも悩ましい。
二人にも何かお守りを用意してあげましょう。
効くかは分かりませんけど。
「さっきから百面相してるわね」
「いつも通りだろ?」
「ん!母様、いつも!」
「かーしゃま、かあいいねえ」
褒めてもらえるのは嬉しいですね。
でも、そんなに表情を変えているのだろうか?と小首を傾げつつ、うにうにと私は自分の顔を触ってみるものの、とくに変わったところはない。
「……ところで、その白いのは何?」
「ソウタロスだ」
「「そーちゃん!」」
「イマジンのソウタロスだ。よろしく」
ちなみに個魔の方も居ますが、恵さんには見えていないようですね。