「左之助さん、コレを持っていて貰えますか?」
「くれるなら貰うぞ」
私の差し出す物を躊躇いなく受けとる左之助さんの豪胆さに流石だと思う反面、こんなものを押し付けるように渡して申し訳ない気持ちにもなります。
「般若達が付けてたやつか?」
「いえ、見た目は似ていますけど。別種です」
カチャリとブレスレット型の道具を見つめる左之助さんに、どうやって説明しようかと考えながら色の宿っていない『超絶勝負チェンジャー』を見る。
疾風流忍者、迅雷流忍者、戸隠流忍者、そして伊賀崎流忍者を含めての主君と成ったお父様に献上された物だそうですが、何を思ったのか。
私に送りつけてきました。
本来、獅子王という精霊が宿っている筈なんですが既にそちらは存在し、此方は原型として残っているプロトタイプだと聞いている。
シノビメダルのように代えの利かないものは受け取り拒否していますけど。こういう発明の基となったものを貰えるのは正直嬉しい。
「コイツも変身できるのか」
「確かに、一応の変身は出来ますね。能力は使えませんよ?鎧を造り出すだけで、本来は使用者を手助けする相棒が宿っているらしいです」
「伽藍堂の変身腕輪ってわけか」
静かに呟く彼を見上げる。
いつものごとく蛮竜が嫉妬して暴れない理由も自分のように意思を持つ武器ではないからなのでしょうが、もしも獅子王が宿っていたら喧嘩していましたね。
「親父さん、景に渡してどうしたかったんだろうな」
「左之助さん宛ですよ、多分」
「オレにか?なんでまた」
「近頃、東京近辺でナナシやヒトカラゲの目撃情報が多くそうなので用心の意味もあるんだと思います。それに、左之助さんならば、これを使いこなせるとお父様はお考えなんでしょうね」
「いや、単に送り付けて返しに来るのを待ってるんじゃねえか?親父さん、景と話す時間が少なかったって不満漏らしてたからな」
それは、なんだか申し訳ないですね。でも、私にも用事や仕事もありますし、いつまでもお父様やお母様に甘えているわけにはいかないのだ。
「んッ…なんですか?」
ワシャワシャと頭を撫でてくる左之助さんに驚きながらも首を傾げつつ、そう問いかけるも無視され、ずっと頭を撫でられてしまう。
なんだか今日の左之助さんは変ですね。
「そういや景に聞きたかったんだが、ドンと親分の真ん中に座ってるアイツだれだ?」
「左之助さんの知り合いでは?」
そう言い合ってお互いに困惑する私達はドンと親分の間に寝そべっている、よく分からないタヌキにも見える生き物を見つめる。
ムジナ、でしょうか?