「よう。東京に帰っていたんだな!」
先日の外道衆の襲撃後。ごく当たり前のように我が家にやって来た志葉誠輔に左之助さんは面倒臭そうに顔をしかめ、玄関の鍵を閉める。
池波君以外の侍戦隊に会うのは初めてですけど。明治時代のシンケンピンクは男性なんですね。まあ、原作の方でも男女問わず変身は出来ていますし。
そう納得する間に『解』の文字で玄関は開いた。
「景、コイツらどうにかならねえのか?」
「無理ですねえ……」
だって、この人達はショドウフォンの機能の不備を伝えるために来ているわけですし、本来は黒子の人がやって来て書類を受け取るだけだったんですが。
チラリと私と志葉様は池波君を見つめる。
どうやら彼はまだ私に恋情を抱いている様です。前回も前々回も人妻だと断っているのですが、どうすれば諦めてもらえるのでしょうか。
「初めまして、毎日拝読しています!」
緑色の着物を身に付けた少年───いえ、彼女は男装している女の子ですね。そういう人もいるとは時代的に理解しています。
「谷殿、糸色に近すぎる」
「うるさい。横恋慕下郎め」
「……」
ものすごく強い言葉に頬を引き釣らせながら、私は谷と呼ばれた彼女の差し出す『うしおととら』にサインを描き、ルンルン気分の彼女に微笑んでしまう。
「ウッ」
「え?」
「かおが、顔が良い…!」
「は、はあ…?」
尊くて死ぬという表現はよく聞きますけど。
まさか私にそういう感情を向けてくる人がいるなんてビックリですね。……なにか既視感を感じるけど、こういう人と関わった記憶はない。
「確かにオレの景は綺麗だ」
左之助さんが対抗するように言葉を告げた瞬間、池波君の右手が動き掛けるも志葉誠輔によって妨害を受け、怨みがましそうに左之助さんを見据えています。
私の幸せなので壊さないでね?
そもそも池波君は左之助さんと話し合って解決したんじゃなかったのかと首を傾げていると志葉誠輔が鞘に収まったシンケンマルを差し出してきた。
「用心のためだ。置いておけ」
「そういうことなら」
しかし、しとりとひとえがいるので『封』と『縮』の文字をシンケンマルの刀身に送り、短刀サイズの刀身に変わって斬れなくなったシンケンマルをしとりとひとえの二人に差し出す。
二人は不思議そうにしているので、居間の方に運んで欲しいと伝えると個魔の方とソウタロスが姉妹を手伝ってくれた。
「オレは大鉾があるからな」
「私は包丁以外に刃物は少し…」
そう言って私は苦笑を浮かべる。