某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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未到の界 急

志葉誠輔と池波君の長期訪問は終わり。

 

ようやく、のんびりと平和な日常を過ごせると思っていたのに今日も店前に般若は来ています。よく見たら谷さんも人混みに紛れていました。

 

「いやー、やっぱり『うしおととら』は善き物です」

 

「おお、分かりますか!」

 

「えぇ!分かりますとも!」

 

店先で談義するのは止めてほしいのですが?と思いながら、冊子を買いに来てくれたお客さんに一つずつ手渡ししていると二人の番も直ぐに迎える。

 

外道衆と戦っている谷さんにとって、般若はただの怖いお面を着けた人ということなんだしょうけど。流石にものすごい絵面になっていますね。

 

「やはり一番カッコいいのは───」

 

「うむ、一番カッコいいのは───」

 

「秋葉流ですね!」

 

「蒼月潮殿だな!」

 

その言葉が聞こえてきた瞬間、あれほど賑わっていた店先は閑古鳥が鳴くがごとくお客さんが一斉に離れていき、私は店先で睨み合う男女を見詰めることになってしまいました。

 

「「はあ?」」

 

助けて、左之助さん。

 

怖くて泣きそうです。

 

「白面の者に唆された挙げ句の果て、孤高故の孤独に耐えきれず光に焼かれた秋葉流のどこがいいのだ!?」

 

「そっちこそ太陽みたいに笑顔が素敵で絶対に揺るがない意志を持ってるだけの蒼月潮のどこがいいの!?」

 

「「貴様ッ、分かっているな!?」」

 

同担拒否の癖に理解するオタクには寛容なんですね。そう私は一人で納得しながらも談義を続ける二人をお座敷に送り込み、私は販売を再開する。

 

「先生、大変ですね」

 

「あ、あはは、なれますよ」

 

ふいっと顔を逸らす。

 

こういうことは起きて欲しくないですし、人様にご迷惑を掛けるのは悪いことです。あとで柏崎さんか四乃森蒼紫のどちらかに連絡しておこう。

 

谷さんは自分で帰るでしょうし。

 

「先生、後ろすごいっすね」

 

「ま、まあ、直せますから」

 

「応援してます」

 

どっちの意味で言っているのでしょうかと苦笑を浮かべながらお客さんの言葉に頷きつつ、私は左之助さんが帰ってくるのを静かに接客して待ちます。

 

しかし、谷さんは秋葉流が好きなんですね。

 

分かりますよ、あの面倒くさいところが良いんですよね。昔の左之助さんもああいう面倒くさいところがあって、今は何だか執着心が暴走しているけれど。

 

とっても素敵な私の旦那様です。

 

「(それにしても白熱した会話ですね)」

 

あんなに高らかに語ってもらえるのは嬉しく思いますが、あんなに騒々しく騒ぐのは止めて欲しいです。絶対、また私が原因だと思われますから。

 

 

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