某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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最強の剣客 急

京都各地で志々雄真実一派の戦闘員と戦っていた警官隊も集まり、半壊した「葵屋」の前にいた十本刀の人達は警官隊に抵抗することなく捕縛を受け入れる。

 

「また会いましょうね、糸色ちゃん」

 

「はい。また会いましょうね」

 

「糸色さーん?」

 

「相手は敵だったのよ?」

 

ヒラヒラと縛られた両手を軽く上げ、私に向かって微笑みながら手を振る本条さんに助けて貰った事もあり、彼女の事を悪い人とは思えず、私も手を振り返したら神谷さんと巻町さんに頬っぺたを引っ張られる。

 

「いふぁいっ、いふぁいれふ!」

 

「……柔らかいわね」

 

「モチモチしてる、私の一つ下なのに」

 

私の抵抗を無視して二人の手の動きは頬っぺたを引っ張るものから、肌の質感を確かめるものに変わり、明神君や御庭番衆の人達に助けを求めるも、ふいっと顔を逸らされてしまう。

 

さ、さっきまで守ってくれてたよね!?と、そう叫びそうになるけど。二人の手付きが次第に激しくなり掛けたところで、ようやく柏崎さんの仲裁が入る。

 

危うく頬っぺたが取れるところだった。

 

自分の頬を擦りながらジンジンとする痛みを和らげるためにマッサージしていると、視界の全てが比古清十郎の顔に占領される。

 

「ちっ、近いです!」

 

「……剣心の奴は変に警戒してたみてえだが、随分とアイツも見当違いをしている様だな。お前、この明治を生きるのが怖いのか?」

 

「な、んで…ッ…!…」

 

小さな声で此処にいる人達の誰にも聞こえないように聴いてきた比古清十郎の観察眼……ううん、これは飛天御剣流の継承者として生きてきた比古清十郎の人生の経験則による物なのかも知れない。

 

「……はい、怖いで…す……」

 

ゆっくりと私は本心を吐露する。

 

「生憎と俺には生きることに恐怖する奴に説法を解く趣味は無い。───だが、こうしてお前のために頑張ってくれる奴らも居るんだ。ソイツらのためにも、まだガキの癖に生きることに絶望するな」

 

「……フフ、説法を解くつもりはなかったんじゃないんですか?」

 

その言葉はどう考えても励ましの言葉だった。

 

流石は緋村剣心の師匠だなあ。言葉は酷くて、それでも優しく「怖がって迷っても良いから生きることに諦める事を諦めろ」と彼は言ってくる。

 

「ああ、説法じゃない。先達からの説教だ」

 

本当に、この世界はズルい人ばかりで……。

 

「あぁーーーーッ!!!そうだ、そうよ!糸色さん、また蒼紫様の絵襖を描き直して!お願い!私のお小遣い……お小遣い残ってるかな?」

 

「ハッ!!!い、糸色殿、今度は我らも描いて下さると。できれば御頭の側に私を描いて頂きたい所存!」

 

いきなり叫び声を上げた巻町さんは半壊した「葵屋」の中に埋もれているか、ひょっとしたら破れているかも知れない絵襖の事を叫び、その事を思い出した般若が私の足元に片膝を突き、自分の場所を指定してきた。

 

う、うん、二人ともすごい熱気だわ。

 

 

 

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