「ん!ん!ん!」
「ゔっ、ゔぅ、ゔぇっ」
ベチベチと酔い潰れて二日酔いの苦しみに呻く左之助さんの背中を叩くしとりの容赦無しの揺さぶりに感心する私のお膝の上に座り、コクリコクリとお昼の睡魔に誘われているひとえを寝かせて膝枕をしてあげる。
珍しく深酒をしていたこともあり、しとりの遊び道具になってしまっていますね。ああいう左之助さんは祝言を挙げる少し前に見たきりでしたから、こうして安心して酔えるのは良いことです。
いつも私のせいで危険な事に巻き込んでしまいますから、せめて酔える日は酔って欲しい。……でも、流石にしとりに乗られて呻くのはダメですね。
辛そうです。
「んむぅ…」
「ああ、ごめんね。ひとえ」
頭を撫でていた手を掴まれ、ぷくーっと膨れっ面で頭を撫でるように要求してくるひとえの頭を優しく触り、軽く手櫛で髪の毛を整えてあげる。
「ひとえはリボン喜んでくれたのね」
「ひーのりぼん」
白いリボンを解いて彼女の手首に優しく巻き、スヤスヤと眠り始めた彼女の身体を包み込むようにリボンはブランケットに変化する。
虹の反物をそういう風に使えるのはひとえだけですね。危ないことに関わるわけではないですし、二人が錬金戦団や他の組織に狙われる事は避けられるでしょう。
「げゔ、けいっ、助けてくれ」
「あらあら、まあ…」
口を手で押さえる左之助さんの背中に股がるように座り、グイグイと背中を押しているしとりは楽しそうに笑っている。いつもより長くお父さんに遊んで貰えていると思っているんでしょうか?
それは、とても微笑ましいことです。
「しとり、一緒にお昼寝しましょう?」
「んーん、父様とあそぶ!」
「あら、お母さんはダメなの?」
「むう、母様ともあそぶ!」
そう言うと左之助さんから離れて私の傍に来てくれたしとりの髪の毛を整えて、赤いリボンで彼女の綺麗な髪の毛を結い上げる。
「りぼん?」
「えぇ、お買い物をしてくれたお礼です」
「うれしい!」
にっこりと笑顔の花が咲く。
やはり、しとりもひとえも笑顔が素敵ですね。天真爛漫で元気溌剌とした貴女の笑顔を見るだけで、お母さんも元気になれます。
「……なんかそっちのほうが寝やすそうだな」
「左之助さんも来ますか?」
「行く」
即答。
のそのそと歩いてきた左之助さんはしとりとひとえの近く、私の左側に腰掛けるように倒れ込み、まだ少しお酒の臭いが残っています。
お髭も剃り残しがあって、ジョリジョリした感触にひとえはイヤそうにしながら寝返りを打ち、しとりの腕の中に収まる。