「こりゃまた随分と貰ったな」
お仕事から帰ってきた左之助さんは積み上がった木箱と槍や鉾、薙刀など長柄の武具を一つずつ手に取って試していたとき、ある物を握って眉間に皺を寄せた。
北落師門。
『SAMURAI DEEPER KYO』に登場する妖刀「村正」の一振り。左之助さんとは戦い方は違いますけど、凄腕の槍使いが使用していた武具です。
賛さんから似たような気配を感じていましたが、ひょっとしたら彼女も使っていたのでしょうか?と思いつつ、北落師門と同じ柄の風呂敷に包まれていた懐剣に扮した仕込み槍を手動で引き伸ばす。
「伸縮する槍か?」
「はい。銘は
────以前、姿お兄様のお披露目していた刀剣の中にアレかな?と思う物は幾つかありましたけど。こうしてハッキリと見てしまうと、なんだか何とも言えない不思議な気分になる。
「こよく。虎に翼か」
軽く振るって引き伸ばす姿を見て、一瞬だけ知らない女の子が重なる。また『前世の記憶の保持』に副次効果が出てしまったのだろうか。
いえ、流石にあり得ないですよね。
「景の使えそうなヤツはあるのか?槍とか薙刀とかお前でも使えるんじゃないかなんて」
「フフ、無理ですね。そもそも振る以前の問題です、私の身体は戦うことに適していませんし、武器を振るえるほど筋力も強くありませんから」
そう言って反物を吟味する。しとりとひとえの事を考えると、もう少し大きめの着物を作ってあげるほうが良いのかも知れませんね。
二人ともお洋服の方が良いかしら?なんて考えていたとき、妖しく光る欠片を見つけ、そうっと木箱を閉じて『封』『防』『壁』等々のモヂカラで重ね掛けをする。
どうして、ここに四魂の欠片が?
私の疑問に応えてくれる人は今は北海道にいるし。少なくとも献上品として贈ってくれた人達は悪意を持って、この欠片を贈ってきた訳じゃない。
しかし、妖怪の気配はしないんですよね。
「左之助さん、お昼ご飯にしましょうか?」
「ん、おう」
虎翼を戻した左之助さんは刀身を折り畳み、鞘に納めると縁側で草履を脱ぎ、台所まで一緒に着いてきて、手洗いとうがいを真面目にしています。
病気は怖いですから小まめに、です。
いつもの癖で核鉄を出してしまったものの、私の核鉄ではなく左之助さんの核鉄ですから熱を帯びることはないですけど。
「……ひとえはどこに行ったんだ?」
「あの子なら縁側ですよ?」
「ああ、見つけた」
ひとえを抱っこした左之助さんが居間に座り、私はいそいそとご飯を用意して左之助さんの真向かいに腰掛ける。ちょっと左之助さんは不満そうです。