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「次は、此処か…」
斎藤と宇水の戦った第二の間を抜けて、辿り着いたのは「方治の間」と看板に掲げられた部屋。オレ、斎藤、次に戦うのは剣心か蒼紫のどちらかだ。
重苦しい音を立てて開いた観音開きの扉の向こう側は大量の本棚で埋め尽くされた書斎の様な作り。その奥の洋式机と対になる椅子に腰掛けた男がオレ達を出迎える。
先日、志々雄の乗っていた「煉獄」の指揮を執っていた男だと斎藤は語る。……ってことは、あの時のすげえ怒り狂ってた奴か?とオレは目の前の事を思い返す。
「佐渡島方治、志々雄様の認める参謀よ」
「私の紹介などどうでもいいのだ。先日の屈辱をッ、志々雄様と私達の出陣を邪魔した罪をこの場で悔いて貰う!!」
そう言って怒りを露にする佐渡島方治の言葉にオレ達の視線は斎藤に向かうが、アイツは平然と紙巻き煙草に火を点け、蒼紫だけに視線を返した。
「確かに、順番を守るならば次は俺になるか」
「気を付けるでござるよ、蒼紫」
「問題ない。お前達に受けた恩は此処で返す」
蒼紫は長刀の柄と鞘の尻を掴み、同時に抜刀する。その姿は景が襖に書き記していた時に酷似し、剣心もあの斎藤も少し驚いた表情を見せる。
「小太刀二刀流、武田観柳の配下を務めていたときに補えなかった攻撃力を二刀に変えて補うか」
さっきまでの怒り狂っていた顔付きは真剣な物に変わり、姉ちゃんは分厚い鉄板の後ろに隠れる。なんだ?アイツの武器に何かあるのか?
「───だが、私の敵では無い!」
その言葉と共に脱ぎ捨てられた外套の内側、佐渡島の腰に巻き付いた
「チッ!!」
「左之、此方でござる!」
刹那、炸裂音と共に放たれた弾丸を蒼紫は事も無げに切り裂き、瞬時に佐渡島が引き金を引くよりも先に飛び込もうとした。
───その時、連続して炸裂する音が室内に響き、蒼紫の身体に無数の弾丸が命中する光景が本棚の隙間から見え、オレは唖然とした。少なくとも回転式機関砲より逃げやすい弾丸に、あの蒼紫が当たるとは想像もしなかったからだ。
「成る程、改良型の拳銃か…」
「否、改良型ではない。この拳銃は東京府警察署の押収品より見つけた設計図を元に私自ら作り上げたこの世に一つしか存在しない代物だ」
そう言い放つ佐渡島に剣心は逆刃刀を抜こうとしたが、蒼紫に睨み付けられる。決闘は手出し無用の一対一、此方が破るわけにはいかねえからな。
「そして、この回転式拳銃に勝るとも劣らぬ装填数八発の拳銃が私の武器だ」
回転式拳銃はまだ何度か見たことあるが、あの平たい拳銃は見たことねえな。……そもそも、なんで東京にあんな拳銃の設計図が?
「糸色の描いていた図案を盗まれたか。あの女の知恵は薬にも毒にもなる。やはり、我ら御庭番衆の裏方に欲しい人材だな」
「おろぉ…またでござるか糸色殿」
「あの阿呆が、帰ったら捕まえてやろうか」
「テメェ等、人の女房を何だと思ってんだ!?」
人の大事な女に文句を言う奴らに文句を言おうと立ち上がると拳銃の弾が髪の毛を掠り、慌てて床にしゃがみ込み、蒼紫と佐渡島を見据える。