ドクトル・バタフライを経由して、左之助さんも志葉家に来てくれました。
しかし、物凄く怒った顔で私の頬っぺたを軽くつねる左之助さんに「いふぁい!いふぁいれふ!」と半泣きになりながら訴えるも許して貰えなかった。
「景を連れていくのは止めろ。特にオレの居ないところで連れ去るなんざ悪徳代官かよ」
「うぅ、頬が痛いです…」
自分の頬っぺたを捏ねるように擦りつつ、左之助さんは家老の方に文句を言う。でも、私が秘伝ディスクを届けなければ『侍戦隊シンケンジャー』の物語は、ここで終わっているかも知れないんです。
それは、とても怖いことだ。
他の転生者も自分の生活はあるものの、世界の危機には駆け付けてくれますが、楯敷ツカサのように悪側に与する転生者も存在している。
その事を考えると危険な相手は沢山居ることも分かっているつもりです。
しかし、この前の境君や賛さん、武藤君のように何かしら別の要因でやって来る未来の子供の事を思えば、少しでも良き未来を作ってあげたいのです。
「殿は、御自身の力で外道衆を討つ事をお考えだが、夏季の終盤は三途の川も最高潮に達する場合もあり、こうしている間もアヤカシ達は力を蓄えているのだ」
「ウチの女房には関係ねえだろうが、コイツは臆病だってのに無駄に危ない奴らに好かれた挙げ句、変な奴らに好意まで持たれてんだぞ」
「左之助さん?」
そんなことを考えていたんですか?と聞きたい気持ちを押さえながら、家老の方と白熱した会話を交わす左之助さんに戸惑ってしまう。
私の事を大事に思ってくれるのは嬉しいけど。
最近はドロリとした感情も垣間見えて、だんだんとドキドキする事が増えて来ました。なにか彼の不安を煽ってしまったら、一体どうなってしまうのかしら?
そう思っても一線は越えられない。
だって、とても怖いから仕方ないんです。
「相楽殿、如何に貴方が強くとも一人だけでは糸色殿を守りきることは難しい。此度の拐かし同然の行為も貴方に知って頂くためにやったものだ」
「三回だ」
「?」
「オレは三回も景を奪われ掛けた。けどな、全部取り返してるんだよ。誰がどう思おうが知るか、オレは惚れた女に魂を捧げてるんだよ。テメェらの都合で勝手に決めつけるんじゃねえ」
そう言うと左之助さんは私の手を握り締めて、志葉家の玄関へと向かって歩き出す。黒子の方達が慌てて止めに来るも殴り倒してしまう。
いつも左之助さんの愛は重たくて、私はいつもドキドキしてしまいます。