谷さんの襲撃を受けた数日後。
私は左之助さんが見つけたという穴場のお寿司屋さんに向かっていました。何でも外国の料理を取り入れた最新気鋭のお寿司を握るとのこと。
どこか既視感を抱きつつ、家族総出でやって来たのは梅盛と看板を掲げた如何にも老舗という外観のお寿司屋さんでした。
どうやら私の予想は正解のようです。
「らっしゃい!おお、左之助か!!」
「大将、家族総出で来たぜ」
「それなら座敷を使いな!壁に掛けてるモンなら大体揃ってらぁ!!」
快活とした笑い声を出すお寿司屋さんの店主───梅盛の名字と志葉家の近所にお店を持っている。もう答え合わせをする前に正解は目の前に立っていますね。
未来の六人目の侍です。
正確には店主の子孫が侍戦隊シンケンジャーに加わる六人目の追加戦士になるわけですが、糸色家の存在もありますから七人目という可能性も否めない。
「よめない」
「これは、マグロです」
「まぐろ!」
「あいよ!」
しとりの言葉に握り始める梅盛店主の手捌きに驚き、左之助さんの方を見ると悪戯が成功した子供のようにクツクツと笑い、私の事を見つめていました。
五秒にも満たない素早さで、しとりの目の前に鮪のお寿司が並ぶ。江戸寿司という大きく分厚い作りにビックリしている彼女の髪の毛を軽く纏めてあげる。
「ソウタロスも頼んでいいね?」
「お、おう、じゃあ、サーモンじゃねえ…鮭くれ」
「任せとけ!」
「ひとえはどうする?」
「んとね、えと、これ!」
そう言ってひとえの指差したのは朱字で描かれた本日公開の文字に『洋式握り寿司』というものに、もしものときは私も頑張ろうと左之助さんと頷く。
「へいお待ち!」
「……おさかなさん?」
「これは、寿司なのか?」
ひとえとひとえをお膝の上に乗せている左之助さんの呟く言葉に私達は同意する。洋式。いわゆるフレンチ系を予想していたのに、カツが乗っていました。
───言うなれば、カツ寿司でしょうか?
「……んっ、おいひい!」
「マジか?……あ、美味いな」
油物が得意な二人は洋式握り寿司を食べて、また同じものを頼みました。揚げ物は先に用意しているらしく、少し冷めているけど。
美味しいようです。
「しとりも食べたいですか?」
「いらない」
フルフルと頭を軽く横に振って拒絶するしとり。最近、私に似て油の濃いものは苦手になっているのか、左之助さんやひとえのように食べませんからねえ……。
「すみません。烏賊を貰えますか?」
「おう!」
滑りも汚れもない綺麗な烏賊のお寿司をしとりと一緒に食べる傍ら。個魔の方の食べたいというお寿司を頼み、みんなで食べる。
ドンと親分、ボスも連れてきたかったけど。
動物同伴は衛生的にだめなのです。