某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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銃は剣よりも強し 急

いくら新型の銃器とはいえ回転式拳銃の再装填には五秒近く掛かる。その隙を見逃すほど蒼紫は甘くない。佐渡島が革帯に手を翳した瞬間、蒼紫は目の前に立つ佐度島へと向かって最短距離を駆け抜ける。

 

「ハアッ!!」

 

「んぐあ゛ァ゛ッ!?」

 

左右の小太刀を同時に繰り出し、佐渡島の胴体に斜め十字の傷を負わせる。が、佐渡島は地面に転がりながらも負けじと平たい方の拳銃の持ち手の底に弾丸を込めた筒を押し込み、至近距離にいる蒼紫を撃つ。

 

バンッ、バンッ!という乾いた炸裂音に混じり苦悶の唸り声を上げて後退り、その勢いを殺しきれず本棚を押し倒す蒼紫は吐血する。

 

火薬の煤ける臭いと血の臭いで満ちた部屋の端と真ん中に立つ二人は傷だらけの身体に力を込め、ふらつきながら立ち上がり、お互いを睨み付ける。

 

「…ハァッ…ハァッ…ッ…悔しいが認めよう。志々雄様の強さには劣るが、御庭番衆の御頭という肩書きは私の想像していた物より重く、貴様の矜持足り得る……」

 

「…ゴホッ……此方もお前を知略を巡らせ、搦め手を使う者と侮った事を詫びよう……やはり貴様はあの修羅が参謀に据え置くに値する男だ…」

 

怒りの表情はそのままだが、どこか満足げに笑みを浮かべた佐渡島は銃弾を再装填し終えると革帯(ベルト)に取り付けられた拳銃嚢(ホルスター)に二挺の拳銃を差し込み、蒼紫の間合いに踏み込んだ。

 

「私の全身全霊を以て貴様を倒す…!」

 

「ならば此方も奥義で応えよう」

 

蒼紫は両手の小太刀を逆手に構える。

 

アレは観柳のところで剣心に放った回天剣舞の構えだが、まさか二刀流でも使えるのか。しかし、今更聞けるような状況じゃねえことはオレでも分かる。

 

「ヌアァァッ!!!」

 

「シィァアッ!!!」

 

蒼紫の繰り出した左回転の回天剣舞「六連」を佐渡島は胴体に刻まれ、受けながら二挺の拳銃に装填されていた五発の弾丸と八発の弾丸を全て撃ち尽くし、カチン!カチン!と引き金を引く音が静かに木霊する。

 

「……ゴブッ……し、し…お、…ざ…ま゛!…」

 

ゆっくりと倒れ込む佐渡島を身体で受け止めた蒼紫も後ろ向きに、仰向けに倒れ伏す。オレも剣心も姉ちゃんも慌てて二人に駆け寄り、二人の安否を確かめる。

 

「方治、ちょっと!?」

 

「蒼紫、先程の回天剣舞はッ」

 

「…御約束は違えん…今だけは不殺(ころさず)だ……」

 

「あの回天剣舞を繰り出す刹那、小太刀の向きを変えるとはな。どいつも緋村に感化されて嫌になる」

 

斎藤は血塗れの蒼紫の事を褒める様な事を言いつつ、剣心に文句を言う。……そういうひねくれたところを自分の女房に見せてるのかと聞いたら怒るだろうな。

 

「先に行け、俺は少し休む」

 

そう言うと蒼紫は目を瞑り、静かに呼吸を整える。斎藤と剣心のふたりは出血しているものの、致命傷になる傷は鎖帷子で防いだ蒼紫の姿を見下ろし、頷いた。

 

「蒼紫は任せる。左之、先を急ごう」

 

「おう!斎藤、お前も休んどけよ!」

 

「阿呆が。貴様の方が重傷だ」

 

そういや、そうだったな。

 

 

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