錬金戦団の襲撃を受けて北海道を脱出していたドクトル・バタフライと、ヴィクター家の方々のお手紙を戴き、菓子折りと引っ越しのお祝品を贈っておきました。
烏賊折神と舵木折神の事を掬い上げて、私のモヂカラを与えながら自由に泳ぎ回る二体の折神を眺める。たまに左之助さんが魚のエサを投げ入れているけど。
食べないんですよね、機械ですから。
「かーしゃま、おっきくなった?」
「さあ、どうでしょうねえ」
「ん!ひーちゃん、さる!」
「それは、ゴリラですねえ」
縁側に座って池の中を覗いているひとえと、私のモヂカラを注いで数十分ほど稼働できる域まで成長した猛狒折神と触れ合うしとりの事を眺める。
……最近の研究で分かった事ですけど。
モヂカラもまた五行思想の関係性であり、谷さんの『木』は風に属するため、中々面白いように秘伝ディスクの作成も行えている。
『火』と『火』を縦に重ねて『
獅子ディスクによる火炎の舞いもモヂカラを炎に凝縮して『焼き斬る』という攻撃を行えるように力をコントロールしている。もしもコントロールを失敗すれば、自分自身の身体を焼きかねない技です。
私の『前世の記憶の保持』も使い方を間違えると情報量を過剰摂取することになります。最近は完全十割しっかりと制限した状態でも日常の情報整理に使える程度には安定している。
「母者、まだディスクあるでしょ?」
「……流石に個魔の方は気づきますよね」
彼女の指摘に苦笑を浮かべつつ、袖の中に仕舞っていた赤い秘伝ディスクを取り出す。
「火炎焱」と文字を描いた秘伝ディスク、本来は最後のひとつに「燚」と書き足したいのですが、私のモヂカラだけではなく、しとりとひとえのモヂカラを加えたもの。
この力を使えば強化形態。スーパーシンケンレッドやハイパーシンケンレッドに通じる陣羽織と具足を纏うのですが、最後の一文字は志葉誠輔の物が必要になる。
二人に無理をさせてしまった。
特にひとえはまだ小さいのに、こんなことをさせてしまって申し訳無いです。
「…火を統べる秘伝ディスクってわけね」
「はい、渡すのは渋る程度には強いです」
「いや、渋るどころか渡したら焼け死ぬわ」
「……否定、できませんね」
そう言って私は視線を手に持っているディスクに移す。どうしたら安定して使えるようになるのか。もしくは、火炎を抑え込めるのかを考えないとですね。