虎折神の開発に手間取っています。
烏賊や舵木、兜、猛狒は苦戦苦節はあったものの、辛うじて製作する事は出来たけれど。この虎折神の秘伝ディスクの製作には苦労しています。
肉食動物故に制御するために必要なモヂカラの総量も異なり、凄まじい速さで私のモヂカラを吸い上げていく掌大の虎折神に少しばかり溜め息を吐きつつ、出来る限りのモヂカラを与える。
「
「(左之助さん、それは虎です)」
ひとえに背中を撫でて貰って喜んでいる虎折神の事を見つめて、そう呟く左之助さんに指摘したい気持ちを押さえながら、『力』のモヂカラを池の中を泳ぐ烏賊と舵木にも与えて力を蓄えている経過を詳細に記す。
左之助さんも折神に興味を示しているし、彼の事をイメージした金剛力士像の折神でも作ろうかしら?なんて一瞬だけ考えてしまった。
やっぱり、私も疲れているのね。
そう思いながらしとりの目の前を駆ける猛狒折神。近所の人達には「からくりの君」に登場する機巧人形とは違う、洋式の發条を使った物だと伝えています。
流石に人皮を使っていると思われるのはイヤです。
騒音等の迷惑は起きていないですけど。
「景、噛まれたんだがどうしたらいい?」
「ま、まずは消毒と止血です!」
慌てて救急箱を取りに向かう。
虎折神に指を噛まれている左之助さんの右手を握る。左之助さんは怪我をしていることが多いから、こうして手当てする事は慣れたくないけど。
もう、すっかり慣れてしまっている。
「左之助さん、気を付けて下さいね?」
「嗚呼、悪いな」
そう言うと左之助さんは怪我していない手で私の頭を優しく撫でると、しとりとひとえの二人が左之助さんの手を押し退け、私の事を抱き締めてくる。
ど、どうしたのかしら?
「んむふぅー!」
「ん!ダメなの!」
「なんでだ!?」
愛娘達の言葉にショックを受けて四つん這いになって項垂れる左之助さんの背中にドンと親分、ボスが乗り、彼の事を踏み踏みしています。
これは、いったい、なんなのでしょうか?
困惑しながらも左之助さんに手を伸ばしたらひとえが自分の頭を差し出して、続くようにしとりも頭を差し出して、私にナデナデを要求して来ました。
「フフ、お父さんが羨ましかったんですね」
よしよしと二人の頭を撫でてあげる。
ちょっとだけ予想外だったけれど。そういうことなら、ちゃんとお母さんは二人の事を大事に大切に可愛がって愛してあげますからね。
ずっと貴女達は私の愛しい子供です。