秘伝ディスクの製造は静かに進んでいる。しかし、問題は秘伝ディスクを自由に扱えるのは五人だけ。他にモヂカラを使える人物は居らず───いえ、居るには居るのですが、その人は老年の御方なのである。
そう、志葉誠輔の傍に控える家老。
あの人はシンケンジャーと比べても遜色無くモヂカラを扱える程度の能力を有しています。後方支援に徹しているのは、おそらく志葉誠輔の指示を受け、即座に動ける腹心が少ない故でしょうね。
「(いっそのことモヂカラを蓄積して発動できるように改良したアイテムを作るのもあり……いえ、流石に危険すぎますし、何か準備した方がいいですね)」
それに、しとりとひとえに縁談を申し込んできた場合は即座に縁切りと敵対認定を付け加える。私の可愛い可愛い愛娘達をよく知りもしない相手にお嫁に行かせるわけがないのです。
「折神に自律型機能を付け加えて、遊撃能力を追加して警護を行えるように……それだと可変領域を占めるモヂカラに負荷を掛ける可能性も出てきますし……新しく外付け機構を与えて小型のまま攻撃できるようにする?」
「物騒な話してんな」
「あ、左之助さん、お帰りなさい。それに、お出迎えできずにすみません」
「いや、せっつかれてるのは知ってるからな」
そう言うと左之助さんは手に持っていた小包をすうっと差し出してきて、なんだろう?と首を傾げる私に「開けてみてくれ」と言ってきました。
「……わあ、
「ああ、そろそろ秋だからな」
「フフ、嬉しいです♪︎」
左之助さんが知っているかはわからないけど。マフラーをプレゼントすると意味は「あなたに首ったけ」や「あなたを独り占めにしたい」になるんです。
愛している相手にプレゼントするには最適ですね。そう思いながらマフラーを首に巻いて、「どうですか?」と左之助さんに笑顔を浮かべる。
「良いな。直ぐに使えそうだ」
「使えそうって、まだ夏は終わってないですよ?」
「他にも使い道は沢山あるさ」
マフラーに防寒着以外の使い道?と不思議そうに彼の事を見つめてしまう。しかし、彼は何も言わずに書斎を出ていき、私はまた首を傾げてしまった。
一体、このマフラーに何が?
「まさか変形して武器に?」
パタパタと動かしてみたものの、普通の素敵なマフラーということしか分からず、まだ温かいけれど。折角のプレゼントだからと首元に巻き付ける。
「フフ、うれしいなあ…♪︎」
マフラーに顔を埋めて笑顔をこぼしてしまう。