「やあ、久しぶりだね」
「ドクトル?」
庭先に現れたドクトル・バタフライに驚きつつ、縁側で洗濯物を畳んでいた手を止め、思わず彼の事を見つめてしまう。傷は無いけれど、少し疲弊している。
「お疲れ様です」
「HAHAHA。流石に君にはバレてしまうか」
そう言うと彼は私の居る縁側に腰掛けて、スーツの内側に仕舞っていた何かを差し出してきた。古びた道具。何か嫌な予感を感じて受け取らず、見据える。
私の目でも見えない。
制限を解けばみえるのでしょうが、絶対に見てはいけないものの気がします。そうっと視線を逸らして、手を後ろに回して受け取りを拒否する。
良くないものは受け取れません。
「どうしたのだね?」
「いえ、悪いものですよね、それ」
「……まあまあ、受け取りたまえよ」
ニコッと笑って差し出そうとするドクトル・バタフライに「イヤです、ほしくないです」と訴える。しかし、彼はニコニコと笑うだけで私の言葉を聞いてくれない。
「…………話だけは、聞きます」
「うむ、すまないね。君も知っていると思うが楯敷ツカサの影響で私達は並行世界の一つに存在している。例えば、この世界は『侍戦隊シンケンジャー』だ」
コクリと頷く。
「楯敷ツカサのオーロラカーテンを調べてみたところ、彼は複数の世界を往き来している。今、私が認知できるのは『仮面ライダー電王』と、『仮面ライダーディケイド』の世界と言えば良いのかな?」
「三つの世界を往き来している?……ああ、ソウタロスの乗っていたデンライナーなら並行世界や時間時空を移動する事は可能ですからね」
───そうなると楯敷ツカサの能力は仮面ライダーだけではなく怪人の力も使えると仮定して対策を考えるのがベストということになりますね。
付け加えると怪人の力は危険です。
ラスボスの……ラスボスになるわけですね。
ノバショッカー、その首領に成り得る強さ。仮面ライダーダークディケイドとして戦える反面、完全な怪人態も持っていると考えておきましょう。
しかし、どこでその様な情報を?
「糸色君、私の知性を侮っているね。このドクトル・バタフライに不可能という文字は無いのだよ。並行世界の自分と情報を交わすなど造作もない」
「もはやSF作品の領域ですね」
もう剣客浪漫では無いのでしょうか?と思う。
…………大体、ドクトル・バタフライの仕業ですね。
この人の望んだ『特典』の影響です。
「さて、そろそろ受け取ってくれるね」
「受け取るも何もコレの事を教えて下さい」
「いずれ分かるさ」
そう言うと彼は飛び立ってしまった。
全く、なんなんですか。