立ち話を止めて、甘味処のお座敷に移動する。
「およめさん?」
「そう」
コテンと可愛らしく小首を傾げるしとりの呟きに答える天兵君の真剣な眼差しに左之助さんは沸々と怒りを溜めて、陸奥出海は勝手にお団子を頼んでいます。
お金、ないですよね。
「ひーもおだんごたべる」
「フフ、じゃあ一緒に選びましょうね」
「あい!」
私のお膝の上に乗ってきたひとえと一緒にお団子や善哉のメニューを見ながら、ひとえの選ぶものを次々と店主が「あいよ!」と言うため、食べきれるのかが不安になってきた。
しかし、天兵君の「しとりが好きだ」という言葉に興味を示したりドキドキしている様には思えない。むしろ、もう興味を失っている様に感じますね。
そういうところは私似ですね。
私も興味を失ったものには見向きもしません。覚えてはいますけど、一度執着するともう絶対にその人や物を離したくないんですよね。
「左之助さん、睨んじゃダメですよ」
「睨んでねえ」
「此方を向いて下さいね」
ぐいっと天兵君の事を睨み付けていた左之助さんの頭を此方に向け、ひとえの子供体温のポカポカしたお腹を押し付けてあげます。
「よしよし」
「偉いですよ、ひとえ」
「……オレは子供じゃねえんだがな」
フフ、たまには良いじゃないですか。
そう思いながら出されたお団子を食べる陸奥出海に視線を向けると「俺は飯を食えれば問題ない。そっちの嬢ちゃんを娶れるかは天兵次第だからな」と呟いた。
……陸奥って強引な人ばかりなのに、よく言えますね。それに来年には天兵君は元服を向かえるわけですし、西郷四郎と戦うわけですから。
その時にはもう意味は無いですよ。
「しとりは強いヤツは好きか?」
「ん。父様はすき」
「おう。オレもしとりが大好きだぞ」
「……俺の方が強い」
左之助さんに張り合う天兵君。でも、正直に言うと今の彼よりまだ左之助さんのほうが強いです。陸奥は不敗ですが、左之助さんは敗けても次は勝ちますから。
常勝でもなければ無敗でもない。
私の左之助さんは「死んでも勝つ」なんていう喧嘩殺法と大鉾を使ってアメリカやモンゴルで戦い続けてきた。とても強くてカッコいい人です。
しとりもひとえもみんな左之助さんが大好きですから、それにあまり強い言葉を使うのはオススメしません。しとりもひとえもまだ小さな女の子ですからね。
「天兵、嬢ちゃん達が怖がるだろう」
「親父はどうやってお袋と夫婦になったんだよ」
「さてなあ」
貴方の場合は沖田総司に恋していた女性と一緒になっているじゃないですか。