しとりと剣路君は、いわゆる幼馴染みです。
まあ、過ごした時間は少ないですけど。二人ともお互いを親しいお友達だと思っているようですし、強ち間違っているというわけではありません。
ただ、問題があるとすればアレです。
しとりは妖怪を惹き付けやすい体質で、現在は『妖逆門』に参加するために準備を重ねている。剣路君は妖怪と親しいわけではないので参加できず、下手をすれば半年は会えないかもですね。
「母様、こまちゃんが話しあるって」
「個魔の方が?」
しとりの呼び掛けに『月光条例』の中盤を描き綴っていた手を止めて、ゆっくりと後ろに振り返る。何やら神妙な顔付きの個魔の方が座っていました。
「一体、どうしたんです?」
「母者、私を見られる子供が増え始めた」
「……猶予は?」
「二年か三年、少なくとも嬢ちゃんが十を越えてから開始するとは聴いているけど。キミドリのヤツも日に日におかしくなって来ているんだ」
そう言って顔を曇らせる個魔の方。
どうにかしてあげたいけれど。
『妖逆門』に参加できるのは子供だけ、大人の私には参加する資格も理由も夢もない。もう既に私だけの大切な夢は叶っている。
「しとりの服も考えないとですね」
「しとり、きもの好きだよ?」
「フフ、お母さんも好きですよ」
彼女の頭を優しく撫でてあげながら考える。
冒険をするわけだから動きやすい袴か括り袴にしたほうがいい。そうなるとしとりも着替えやお風呂も欲しくなるわけです。
やはりドクトル・バタフライに頼んでキャンプ用のひみつ道具を作って貰う方が良いかも知れませんね。でも、他の子供達にやっかみを受けることもあるわけですし。
……ネガティブに考えるのはダメですね。
もっと明るく考えましょう。
「それだけあるのなら問題ないですよ。ゆっくりと対策を考えて、無事に二人が帰ってくることを私は信じていますからね」
「期待に応えるよ。嬢ちゃんもね」
「ん!かつ!」
フンスと胸を張って自信満々に答えるしとりと個魔の方に安堵する。しかし、妖怪を惹き付けやすいしとりが参加したら撃符が沢山集まるかも。
そうなったらお友達が沢山出来ますね。
「母様、あったかい」
「フフ、しとりも暖かいですよ」
ひとえも抱き締めて暖まりたいけれど。彼女はドンと親分、ボスに囲まれて眠っている。しとりもですが、うちの子は本当に動物に好かれやすいですね。
本当にしとりは可愛い子です。
とってもソーキュートです。
……しかし、離れるのは寂しいですね。