某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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左之助さん視点です。


天の名を冠する 破

オレと剣心は「方治の間」を出て、直ぐ近くに設置された第三の間の扉を開ける。白と薄い青紫色の服を纏った剣心と似たような優男が部屋の真ん中に立っていた。

 

「あっ。やっと来たんですね」

 

「最後の相手はお主でござるか。瀬田宗次郎」

 

「そうなります。そっちの人は志々雄さん達が狙ってる知識の宝庫と結婚している人ですよね。あんまり賢そうには見えませんけど」

 

そう言ってオレを挑発する優男、十本刀の最後のひとり瀬田宗次郎は恐らく志々雄真実を除けば向こう側で一番強い奴だ。

 

───だが、どうにもアイツを見ていると二年前、初めて会った頃の卑屈で自分に自信の持てていなかった、常に不安げに背中を曲げ、老婆みてえに道の端を何かに怯えて、フラフラと歩いていた景の事を思い出す。

 

「ヘッ。今更誰彼に馬鹿だ阿呆だと言われようがオレには効かねえぜ。此方は馬鹿なりに大事なモンを守るために此処に来てるんだよ」

 

「左之、その言い方では自分を馬鹿だと認めているように聞こえるでござるよ」

 

「あはは、変な人ですね」

 

「テメェ等まとめて殴るぞ!?」

 

しかし、オレにも我慢の限界はある。

剣心と瀬田宗次郎の煽りに文句を言いつつ、オレは前に出る剣心に背を向け、ゆっくりと扉の近くに座る。

 

決闘は手出し無用だ。

 

オレと斎藤、蒼紫は十本刀との戦いで負った傷もあり、割って入る程に体力は回復しきっちゃいねえ上、剣心の逆刃刀を一度へし折った相手だ。手負いのオレが割り込めるほど甘い相手じゃないのは分かりきっている。

 

「まあ、雑談は此処までにしましょうか」

 

「ああ、そうでござるな」

 

ゆっくりと腰だめになった二人は抜刀術の構えを取る。やや低く構えた瀬田宗次郎と剣心の動きが掻き消え、強烈な金属音が部屋中に響き渡った。

 

「互角!」

 

歪な金属音を立てて衝突し、次の瞬間には鍔迫り合いを行う剣心と瀬田が部屋の中央に現れる。

 

ほぼ同時に後ろに退き、正反対の袈裟斬りで斬り結び、一瞬さえも気を抜けない高速の剣戟を繰り広げる二人を目を凝らし、見逃さないために二人の攻防を見つめる。

 

斬馬刀を失った今、あの神速の太刀筋を防ぐ術をオレは持っていない。二重の極みもそうだが、接近して拳打の間合いに踏み込まねえといけない。

 

「う~ん。どうも変だなぁ…?」

 

にっこりと微笑んだままトントンと爪先で畳を蹴り、刀を肩に担いで首を傾げる瀬田は不思議そうに剣心の事を見据え、静かに観察を始める。その様子に剣心も訝しげに瀬田を見るが、逆刃刀は構えたままだ。

 

 

 

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