左之助さん達に気功法の解説を行ったものの。正直に言えば『技絵百般』を読んだところで自由に気功を操作するというのは不可解です。
この世界の根底たる『物語』は【るろうに剣心】ですが、その未来の【エンバーミング】や【武装錬金】と世界観を共有化している。
さらに其処へ私の『物語を繋げる力』によって世界のテクスチャに変革を来し、【うしおととら】や【からくりサーカス】と云った物語を描いたことで世界に、一種の多面性を付与する結果になっている。
分かりやすく例えるならトリコの地球です。
グルメ隕石を受けた地球は物凄いエネルギーを受けた影響で星を肥大化させていた。私の存在は世界その物に『物語』という名前の栄養を与え、転生者は『物語の世界』に生まれる性質上、この地球に何人かまた転生者は生まれてきます。
そして、気功法は可視化できる程に世界に浸透している。その理由は私が【らんま1/2】を描いたため気功法は実際に出来るという価値観を補強したわけです。
「(更に言えば楯敷君の影響で並行世界は存在してしまっている。彼はデンライナーを用いて時間軸も移動できる上、世界線を自由に歩ける)」
そのような特異な光景や存在を認知してしまえば自然と繋がりは強まる。楯敷君の存在している限り、この世界は様々な影響を受け続けるということだ。
もっともドクトル・バタフライの『統一された世界』の効果がその影響力を爆発的に高めているわけで、ハッキリと伝えるなら私を含めた三人がいると、世界はものすごく大変な事になる。
ふと目線を動かすと金色の蝶がいた。
「ドクトル、どうしたんですか?」
「Good Night。少し野暮用を頼みに来たんだ」
「……お断りって出来ますか?」
「まあまあ、そう言わずに」
ニコニコと笑うドクトル・バタフライの持つアタッシュケースに危機感を感じ、ゆっくりと正座を崩してお風呂に入っている左之助さんを呼ぼうかと悩む。
いえ、しとりとひとえも一緒に入っているので、ドクトル・バタフライがいるときに呼ぶのはダメですね。おそらく、そう彼も考えての作戦でしょう。
「……お話だけ聞きます」
「助かるよ。さて、君に頼みたいのはこの道具のテストなのだが」
そう言って彼の取り出したモノに困惑する。
「……なんですか、これ?」
「疑似的にホムンクルスにする改造台だ」
「え?」
小さな台座とドクトル・バタフライの事を見比べて、少し頬を引き釣らせながら「流石に冗談ですよね?」と言えば「君が死ぬのが怖くなったら頼んでくれ」と言い残して、また夜の空に消えてしまった。