「あら、林檎ジュースがあるのね」
「うむ、お酒を飲める人は少ないからね」
ガラス製のコップを受け取った安居院さんは子供用の足の長い椅子に座ったまま、ちゅうっとストローを使って林檎ジュースを飲んでいます。
プラスチックをもう作っているんですね。あとでしとりとひとえの分を譲って貰えないかをドクトル・バタフライに聴いてみましょう。
「ところで、今回の会議の趣旨って何なの?」
「今回は私も知りません。こぼれてますよ」
「んぷ、ありがとう」
ススハムの問い掛けに答える事は出来ない事を伝えて、林檎ジュースをこぼす安居院さんの口許にハンカチーフを当てて優しく拭き取ってあげ、校長席に座ったまま私達を見つめるドクトル・バタフライに、みんなの視線が答えを求めるように彼に集まる。
「───今回、君達の会議は『楯敷ツカサ』という転生者に対する注意喚起だ。正直に言うと私は彼の持つ『並行世界を移動する能力』を警戒している。既に私と糸色君は接触を受けている」
「初耳、でもないわね。仮面ライダーがどうとか前に言っていた理由はそいつってわけか。けど、ライダーになるなんて相当の覚悟がいるんじゃないの?」
「楯敷君の変身するのは『ダークディケイド』なんです。原作でも明確に変身者の存在を提示しておらず、ちょうど楯敷君が適合したと考えるのが一番です」
「「マジか。ちょっと見たい」」
「だれよ、それ」
ススハムと不破信二は仮面ライダーダークディケイドに会えるかも知れないという期待感で少しワクワクとしながら話したことも会ったこともない楯敷君の事を想像している。
あまり人の事を悪く言いたくないですけど。多分、正義の仮面ライダーというより悪の仮面ライダーですから二人の期待は悲しい終わりを迎えますよ?
「しかし、そのたてしき?だっけ。アタシより遅いなら負けることはないわよ」
「彼はクロックアップを使える」
「ハンッ!此方も光速を走れるわよ!」
「(ススハムさん、あんなに自信を持てるなんてとても羨ましいです)」
私ももうちょっと自己主張したり頑張ってみたほうが左之助さんとしても嬉しいかな?なんて考えながら、不破信二から預かった赤ちゃんのピコピコと動く猫耳のような癖毛を撫でてあげる。
ススハムも同じように撫でているものの、彼女は櫛を使って丁寧に整えて満足げに頷いている。まだ十人以上もいるんですよね。
陸奥より繁栄していた理由って、まさかこれ?
「……なんかあらぬ誤解が生まれてない?」
そんなことは、ないですよ?