「栄次郎先生、すまないね」
「何の気にする必要は無いよ」
ガラガラとホワイトボードを運んできた糸色交さんに、みんなは注目する。二人のドクトル・バタフライより彼女の方が、この事態に詳しいため、こうして授業形式で説明を行う様です。
「まず、私達の集まった現在地『光写真館』は世界線を移動できる、言わば『店舗型ワープゲート』だ。時空間の移動に関して解説すると長くなるので此処は割愛。で、明治時代に転移した理由は私を誑かした楯敷ツカサの所持する神のデンライナーの影響だろうね」
「ソウタロスの乗っていたヤツか」
「成る程、ハヤタロスと彼の乗り物も」
「「ん?」」
彼女の解説に二人のドクトル・バタフライは顔を見合わせる。お互いに知っている感じを出しているものの。あくまでソウタロスはひとえの付けた此方での名前でしかなく、ハヤタロスの方が正解になります。
「講義を再開しよう。問題点は並行世界の存在だ。仮にこの糸色景様の居る世界線を『A』とし、黒いドクトルの世界線を『B』とした場合、必ずしも同じというわけではない。まずはお互いの差異を調べるとしようか!」
「確かに、そうですね。先ず私の仕事に手助けをする人はいません」
「ひぐうっ!?」
「ゆ、百合さん!?」
……私のアシスタントにそれだけ誇りを持ってもらえるのは嬉しいですけど。流石に、そこまで尊敬を受けるのは恥ずかしいと言いますか。
ちょっと困ります。
「『A』と『B』の差異は人間関係だけかな?」
「いや、まだあるぞ」
「左之助さん?」
「そっちの警官に聞いたが、此方はもう明治十九年だ。二年も時間が早い」
「ふむ、時間軸の変化在り。人間関係の差異在り。おまけに糸色景様は変わった気配を感じるね、緩やかに燃える『火』の様な気配もある」
その言葉にまさかと思い、未だにショックを受けている園田百合さんに視線を向ける。
「…百合さんでしたっけ」
「はいっ!!」
「そちらの私はコレを持っていましたか?」
そう言って私はショドウフォンを取り出して見せるも彼女は「なんで携帯電話があるの?」と呟きながらも首を横に振って否定した。
どうやら一番の差異は『スーパー戦隊』と『仮面ライダー』ということになりますね。まさか、ここで二つの世界が重なる可能性が増えてしまうとは予想外です。
「景様!私に貸してくれないかな!!」
「え?ど、どうぞ?」
おずおずとショドウフォンを糸色交さんに差し出すと何か見えないものが彼女の後ろに現れたように感じながら、ショドウフォンを分解しそうになっている彼女を慌てて止める。中に溜めたモヂカラが無くなりますから!