しとりとひとえを迎えに戻り、お母様とお父様に急用で帰ることになったことを伝え、申し訳ないと思いながらも私に関わる大事件の可能性もあり、このまま実家で過ごすことは出来ません。
緋村剣心と緋村剣心の邂逅もそうでしたけど。
やっぱり並行世界の人間と会うのは危険と判断するべき。いえ、私自身と出会えばお互いに悩んでいる事や不安を共有して話し合えるでしょうけど。
どうしても不安は残る。
「流石に頭が混乱するぜ。オレや景とそっくりなヤツがいて、オレ達と同じように生きている。人形や妖怪が化けてた方がまだ信じられる」
「あの、その二択どちらも怖いです」
「そうか?」
強くて優しい左之助さんは戦えるから大丈夫でしょうが、私はひ弱で無力なんですよ?と彼に言いながら、私は長野県からの長旅で疲れてしまったしとりとひとえの寝顔を見つめる。
しとりは私達と色々な場所を巡っていたけど。ひとえは今回の帰省が初めての旅行でもありましたから、楽しくて疲れていても気付かずにお父様達と楽しく遊んでいましたからね。
「仮面らいだぁ?だっけか」
「はい」
「アイツら、強いのか?」
「定義に依りますけど。生身のまま戦えば左之助さんの勝ちでしょうし、鎧を纏えば互角か少し向こうに有利です。でも、あまり無理しないで下さいね。私は負けても何度でも立ち上がる左之助さんも好きですよ♪︎」
「おう。オレも好きだぜ、景」
くしゃりと私の頭を撫でる手が頬に移動し、左之助さんの顔がゆっくりと近付いているとき、パチリとしとりの両目が開き、私達の事を見上げている。
「あの、見てますから」
「オレは気にしてねえ」
「で、ですから」
「嫌なのか?」
「子供の前では恥ずかしいんです!」
そう言って左之助さんの口許を塞ぐように両手を押し当てると物凄く不満そうに私の事を見つめ、ひとえの事を抱っこしながらおでこにキスをしました。
「父様、ひーちゃん起きちゃうよ?」
「こうなったのは母ちゃんのせいだ。しとり、母ちゃんに父ちゃんに接吻しても良いって言わせてくれ」
「ん!母様、せっぷく!」
「せ、切腹ですか?!」
しとりの言葉に驚きながら私は自分のお腹を軽く擦り、流石に細すぎるのでもう少し横幅を増やしておかないと切腹出来ないのでは?と変な事を考えてしまう。
「いや、切腹じゃなくて接吻だ」
「せっぷん?」
「たまに父ちゃんが口を母ちゃんにくっつけてるのが接吻だ」
「子供に不埒な事を教えないで下さい」
ペチペチと左之助さんの肩を叩いていると、しとりは不思議そうに小首を可愛らしく傾げる。
「しとりもけんちゃんにせっぷんしたよ?」
「蛮竜の切れ味を試すとするか」
「ストップです、左之助さんっ」
本気で怒ってますね。
これは、どうしましょうか?