「景様、貴女のノートを読みたい!」
「お断りします」
「そこを何とか!悪いことしないから!」
いくら私の子供でも悪の科学者を自称している相手に私の『黒歴史ノート』を見せるつもりはありませんよ。そもそも悪いことをしないというのなら、楯敷君にベルトを渡すのもダメですよ。
もっとも過ぎてしまった事を出してしまえば切りもないですし、私は子供を責めるのは苦手だから見せるのは絶対に無理だと理解して欲しいです。
「どうして、読みたいんですか」
「私は景様や他の糸色の様に変わった能力を持っている訳でも無ければ武術に長けている訳でもない。出来ることは開発だけだ。景様のノートを読ませて貰えれば、みんなの役に立てるんだよ」
「フフ、貴女は少し勘違いしていますよ。誰しも才能や能力はあるんです。ですが、真の才能は少ない、そしてそれに気づくのはもっと少ないんです」
「真の才能?」
「はい。貴女は少し自己肯定してあげましょう。私は貴女が生まれてくれただけで幸せですよ♪︎」
よしよしと私よりも背の高くてスラリとした、いわゆるモデルの様な体型の交さんの頭を優しく撫でてあげながら、しとりとひとえも呼んで彼女を抱き締めてあげるようにお願いをする。
「いーこいーこ」
「えやいねぇ」
「……幼児に慰められてる」
「たまにはお休みも大事です。交さんは頑張りすぎているように思いますし、楯敷君のことが大好きだから悪いことを止めたいのも分かります」
だから、ゆっくりと歩いて進まないと大変なことになるかも知れない。私は自分の子供達が怪我したり酷い目に遭うのはイヤです。
「………じゃあ、見せて!」
「それとこれでは話が違います(まあ、見せても構わないページだけ見せるというのは可能ですけど。斎藤さんにすごく注意されているんですよね)」
「なにがダメなのさ」
「ひとつは悪の科学者を自称しているからです。楯敷君に頼まれたら見せてしまうでしょうし、恋する乙女は何だってしちゃいますから」
そう言うと交さんは「あー、なんでも見透かされる。神通力ってマジなのか。どうやったら身に付くかな」と考え事を開始するもしとりとひとえに邪魔をされ、交さんは何も出来なくなる。
「…なんで、ツカサの欲しいものを私は持ってないんだろう」
「人間、誰かに頼るの当たり前ですよ。楯敷君も下心だけで貴女に近付いたわけではない。ひょっとしたら、貴女も何かあるんじゃないですか?」
「わたしの、なにか?」
それは、私よりも彼が大事に思うものかもです。