「先生、此方の景先生」
「な、なんです?」
光写真館に左之助さんと一緒に食材を届けにやって来た私にすり寄ってきた百合さんに驚きつつ、彼女の手元にある冊子に目を向ける。
「そちら側の私の絵草紙ですか?」
「はいっ!サインください!!」
ニコニコと屈託無く純真な笑顔で頼んできた彼女に般若と似た感じの人なのかな?と思いながら、ゆっくりと冊子の奥付に私の名前を書く。
それにしても、そちら側の世界に転生している私は随分と大変そうですね。百合さんの持つ冊子を見たとき、僅かにもう一人の私の歩んだ記憶が見えました。
「(……かなり知らない人がいますね。雅桐銀行?こんなものも出来るなんて武田さん頑張って……成る程、剣客兵器は小松という方の仲間に、一つの世界に転生者が何十人と居るのは凄く驚きです)」
「先生、先生?き、キスしてもバレないかしら?」
「百合さん、怒るよ?」
「じょ、冗談に決まっているでしょ!?」
今のは十割本気だった気がする。
そう思いながら中々にハードな人生を送っている百合さんと園田君を見つめる。特に園田君、彼は藤田警部補もとい斎藤一の部下として活躍する警察官であり、あの棒も一種の妖怪変化の類い。
蛇は嫉妬深い。更に言えば白蛇は神仏の使いともいえ、彼を取り巻く環境は善悪問わず、様々な出来事を体験することになるでしょうね。
「先生、ウチの家内がまた」
「いえいえ、慣れませんけど。頑張ります」
「私も好きでいるのを頑張ります!」
満面の笑みを浮かべる百合さんと、そんな彼女を優しく気遣って諭す園田君。デコボコに見えて、ずっと楽しく仲良く話している。
フフ、仲良く元気なのは良い事ですね♪︎
「景、なんか手慣れてきたな」
「何故でしょうねえ…」
フッと乾いた笑みをこぼす。
私の横に座っている左之助さんに見せるには、少しだけ草臥れた顔なので直ぐに戻しますけど。本当に私は変な人に巻き込まれたり、不本意に好かれやすい。
その似たものを百合さんに感じるのです。
謂わば、類は友を呼ぶ。
そういう感じのものです。
「そういや、大勢だったか?」
「何です?」
「あの機械で変化するんだよな」
「変化……まあ、そうですね。僕の場合はバックルにこれを差し込めば変わりますし。
「じゃあ、あの蜘蛛もそうなのか?」
くも?
左之助さんの指差す方に私達は視線を向ける。
壁の端に張り付く、蜘蛛男がいました。
フォルム的には「THE FIRST」ですね。
「地獄から来た男、スパイダーマッ!!」
…………なんでしょうか、この人?