ユウスケ君、ドクトル・バタフライ、ソウタロスの憑依した黒い電王、そして、デスガロンさえも動けずに暗青色の仮面ライダーガタックに視線を向けている。
糸色「けい」。
まだ、彼女の名前の漢字の読みは分からないけれど。私と同じ音読という事に凄く親近感を抱きつつ、ゆっくりと私の事を傷付けないように降ろしてくれた彼女の赤い複眼はデスガロンを見据えている。
「どうする。万全の私と戦うか、ゲンジロウ」
「……いや、止めておこう。流石に五人相手にやり合うつもりはない。五人まとめて殺して欲しいなら都市を巻き込んだエネルギー放出は行えるが?」
「そうか。ならアイツに伝えておけ、糸色佳はお前の挑戦を承諾しているとな」
「分かった。伝えておこう。ドクトル・バタフライ、クウガ、黒電王。次にお前達と相見えるときまで暫く我慢しといてやる」
そう言うとデスガロンは変身を解除し、瓦礫を押し退けてアロハシャツを拾い上げると塵を払い、そのまま羽織ると静かに私を見てきた。
「嬢ちゃん、お前も面倒なのを押し付けられたな」
その一言にドキリと心臓が跳ねる。
面倒なの。面倒な物を押し付けた。
私の身体に『物語を繋げる能力』を与えたのは神様で、楯敷君はそれを狙っていると思っていたけど。もっと別の要因があるということ?
「まあ、次に嬢ちゃんと会うときはツカサがアンタから力も何もかも呑み込むときだ。そのときは悪いが、テメェらにも手加減なんてしねえぞ?」
オーロラカーテンを潜り抜けてデスガロンは消えてしまった。いえ、それよりもどうやって帰るのかを教えて貰っていないです!?
「糸色君、ちょっと良いかね?」
「は、はいっ!」
私の名前を呼ぶドクトル・バタフライの声に返事を返し、彼の差し出すカードを受け入れる。おでこに翳されたカードには、私の姿が浮かび始める。
「………………あの、そろそろ離して貰えますか?」
「何を言う。ようやく出会えたお婆ちゃんを手放すなんて出来るわけないだろう。出来ればお爺ちゃんにも会ってみたかったが、今回は来ていないんだな」
ダークガタックゼクターは飛翔し、暗青色の装甲を散らして出てきたのは交さんや私にそっくりな左之助さんより少し背の低い女の子でした。
私の子供はみんな頑張っても159cmくらいだと思っていましたけど。目測170cmはありそうなスポーティーな女の子……いえ、お姉さんみを感じます。
「私は糸色佳。名前の読みは同じだが、佳人の佳と書いて糸色佳だ」
「これはご丁寧にありがとうございます。今は相楽景です。相対する楽しさと書いて相楽、美しき絶景の景と書きます。初めましてですよね?」
家宝になった大鉾の影響を考えると不安です。