某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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機械の生き物 急

左之助さんも大所帯になってきた我が家の飼い動物達のために小屋を作ってくれるようです。犬小屋で足りるとは思えない大きさなのですが、三匹とも一緒に住むのは大丈夫でしょうか?

 

一匹ずつ作るのかな?

 

「しとりも手伝う!」

 

「おお、助かるけど。釘と金槌は持つなよ」

 

「ん!」

 

「ひーもやる!」

 

カンカンと木の板を打って固定する左之助さんを手伝うと言い出したしとりとひとえの姉妹の優しさに微笑みを向けつつ、あまり出番の少ないすし桶にお結びを作り、並べる私の足元をトタトタと影茶碗が走る。

 

危ないから離れていてね?とお願いしながら、お結びの中に具材を混ぜる。鮭の解し身もいいですが、梅干し、おかか、昆布も良いものです。

 

「貴方も食べますか?」

 

そう影茶碗の中にお結びを一つ入れると消えた。

 

そこは口の部分であっているんですね。違ったらどうしようかと少しだけ悩んでいたんですけど。どうやら杞憂に終わったようで良かった。

 

「三人ともお昼にしましょう?」

 

そう伝えると手伝っていた筈のしとりとひとえは嬉しそうに此方に戻ってきて、いそいそと台所で手を洗いに向かってしまう。

 

左之助さんは、ちょっぴり寂しそう。

 

まあ、そういうときもあります。

 

「左之助さんもお結び食べましょう?」

 

「……おう」

 

ドン達のお昼ごはんは健康面を考えて少し野菜を多めにしたものですが、ドクトル・バタフライの作ったひみつ道具「グルメン」を加えています。

 

ペットフードなのに実は人も食べられるそうですが、不破信二に試食を頼んだと話していた。彼、本当にひみつ道具が効かない体質だから……。

 

でも、奥さんには好評だったらしい。

 

「いただきます!」

 

「ます!」

 

「やっぱ、うめえなあ…」

 

みんなで縁側に並んでお結びを食べながら作りかけの犬小屋を見つめる。ドンや親分、ボスは犬じゃないし。いったい、何小屋になるのかしら?

 

「お茶、どうぞ」

 

「ん、ありがとうな」

 

「フフ、良いんですよ♪︎」

 

左之助さんの言葉に嬉しくなりながら、彼の大きな手に比べると小さすぎる私の手で握ったお結びはなんだか遊戯の玩具にも見えてしまう。

 

しとりとひとえには、ちょうど良いのになあ。

 

「景、さっきからちゃぶ台の周り走ってるアイツどうにかならねえか?」

 

「あはは、ちょっと無理ですね。私じゃ追い付けませんし、軒下に行ってしまったら追いかけたくても暗くて見えなくなりますから」

 

「そうか。そうだよな。仕方ねえ」

 

「ああ、でも、あの子はいい子ですよ?」

 

そう言って私の近くにやって来た影茶碗にまたお結びを渡してあげる。

 

 

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