お昼過ぎ。
正門を叩く音を聞いて、私の事を抱っこして胸に顔を埋めていた少し不満げに玄関に向かう左之助さんを追いかけると子沢山の不破信二が立っていた。
何人いるんだろう?と数えれば九人もいます。
子沢山なのは前回のお話しで知っていたけど。また増えたように感じるのは気のせい?と首を傾げながら赤ちゃんを乗せた大籠を受け取り、いそいそと居間の方へと左之助さんと一緒に赤ちゃんを運ぶ。
「えーっと、先ずはおめでとうございます」
「目出度いのは目出度いが、どうしたんだよ」
「そ、そうですね。どうしたんですか?」
「……親父殿達が子が多すぎて継承者争いが起こるからって文句を言いやがるから、敗北しない程度にド突き回したら当主にされちまったんだよ。俺個人はどうでも良いんだけどよ、糸色と左之助に相談したくなった」
そう言って私と左之助さんを見る不破信二は本当に困っているらしく、私としては手伝ってあげたいけれど。赤ちゃんを連れて歩くのはダメです。
「ドクトル、居ますよね」
不破信二の近くを飛んでいた金色の蝶に語りかけるとチャフは形状を作り替えて、立体的なドクトル・バタフライの顔に変わる。
ちょっとだけ怖いです。
「なにかね?」
「ドアを出して貰えますか?」
「ふむ、緊急事態というわけだな。分かった、そちらに繋げよう」
私のお願いにドクトル・バタフライは直ぐに「どこでもドア」を使って来てくれたものの、何故かドアの向こう側はバスタブでした。
薔薇風呂に浸かる彼から視線を逸らす前に左之助さんに目を塞がれ、しとりとひとえもきっと個魔の方が隠してくれているはずです。
「気持ち悪いもん見せんじゃねえよ!」
「おや、失敬。のび太さんのエッチ」
「のび?だれだそれ」
「(左之助さんには通じませんよ。通じるのは、私か不破さんだけです。まあ、ススハムさんや他の転生者にも通じるとは思いますけど)」
本当に悩ましい限りです。
「それで、何があったのかね?」
「左之助さん、もう目を開けて大丈夫ですか?」
「ダメに決まってんだろ?お前が見ていい男の裸はオレだけだ」
「謎の独占欲だな」
「そうなんですか?」
手当てとはいえ不破信二やユウスケ君達の上半身だけですが、見てしまったんですけど。こういうときはちゃんと黙っているほうが良さそうですね。
もしものときは、もしものときです。
それに左之助さんは優しいですから、大変な事になっているお友達を見捨てたりするはずがありません。まあ、不破一族と関わるときは本当に大変になるかも知れませんが、私も微力の微力ながらお手伝いします。