「ふむ、要するに子沢山だから当主争いが起こる事を危惧した不破一族に子供を減らせと言われたわけか。しかし、考え方次第では当主になりたいものだけ鍛えれば問題ないだろう?」
「いや、コイツらは俺の子だ。この腹ん中は修羅か鬼が棲んでんのは間違いない。不破になりたいっていうなら手伝うが」
チラリと私を見つめる不破信二の言いたいことは分かります。糸色家も本来当主になるべき姿お兄様は本条家に居ますし、必然的に私か娘達が継ぐことになる。
霊能大家「糸色」の血筋は濃く、しとりとひとえも妖怪や幽霊を視る力は私より強いですから、おそらく襲名するのは姉妹のどちらか。
「もう、いっそのこと全員不破を名乗るのは?」
「駄目だ。不破と陸奥は最強の称号、ソイツを自由に名乗れるのは当主が自分より強いと認めたか世代交代のときに称号を明け渡す決まりだ」
「じゃあ、今の不破はお前じゃねえか」
左之助さんの言葉に不破信二は頷きながら「やっぱり俺が当主だからいけねえのか?」と呟く彼の身の上話を思い出すと、必ず彼の近くにいた親しい人は亡くなる。
私や左之助さん達は無事ですけど。
その範疇に入ってしまったら、どうなるのかは私にも分からない。
もしかしたら、同じ転生者やその家族には影響しないのかも知れないけれど。不破信二が不安になってしまうのも仕方ないことです。
「相談の続きなんだが不破の仕事は闇に属するもんだ。それなりに蓄えはあるんだが、当主になったからには面倒臭いけど。話し合いとかをだな」
「……事務の仕事を手伝ってほしいんですか?」
そう聞けば申し訳なさそうに不破信二は頷き、我が家にやって来た理由も何となく理解しました。私の記憶力と作業の早さを頼りたいわけですね。
「手伝うのは構いませんよ。お友達ですから」
「本当か!助かる、流石は糸色だぜ」
「景が行くならオレも行くぞ」
「左之助も来てくれるのか。助かるぜ」
……でも、不破一族とケンカ別れしてきたその日にまた向かうのはどうなのでしょうか?と思いながらも大変な事になりそうなので黙っている。
しとりとひとえと一緒に赤ちゃんを眺める。みんな猫のような目をしていますね。とても可愛いですが、やっぱり一番かわいいのはしとりとひとえですね。
「私も事務の仕事を手伝えばいいのかね?」
「そうしてもらえるか?」
「うむ、しかと承った」
ドクトル・バタフライも加わるなら普通に事務仕事は簡単に終わりそうですね。その間、不破信二と左之助さんは何をするつもりなのかしら?