楯敷君はダークディケイドライバーを外して、特撮の何処に仕舞っているのか分からない動きでライドブッカーも一緒に服の中に入れ、静かにドクトル・バタフライを見上げ、ニヤリと笑った刹那、ドクトル・バタフライが吐血し、地面に片膝を落とした。
「ゴフッ……
「オレの強さの根底はライダー怪人だ。あくまで仮面ライダーダークディケイドは外付けだ。その気になれば平成2期の力も使える。コイツは園田大勢のおかげで気付いた能力でもあるがな」
コキリと首を鳴らす楯敷君の言い分は『ラスボスに相応しい能力』としての前提条件として、本来は未来に存在する能力を奪ってきたという事だ。
「タイムジャッカー、ですね」
「正解。よく気付けるな、景」
「ひっ!?」
いつの間にか私の真後ろに立っていた楯敷君にビックリして身体を跳ね上げる。「まあ、制御できるのは精々2秒、3秒だ。おまけに奪ったのはアイツだからな」と何処か面倒臭そうに腕を組み、唸る。
「人の友達に手出ししてんじゃないわよッ!!」
「今度は俺と戦ろうぜ、ライダーッ!!」
「っと、流石にお前ら相手に生身だとキツいな」
私の事を抱き上げ、逃げようとする楯敷君の腕を掴み上げ、白いドレスタイツを血で汚したドクトル・バタフライが怒りを瞳に宿していた。
「糸色君を離したまえ」
「……ドクトル、あんたも異常に糸色景に執着しているが惚れたのか?」
「惚れた?……クッ、クク、ハッハッハッ!!私が愛しているのは妻だけだよ。これは単なる親心みたいなものだ。彼女の子供達を長く見守ると誓ったからね、君ごときに容易く覆す事は出来ないぞ」
快活と笑う彼の言葉に思わず、私は「まさか本当に見守るんですか?」と困惑気味に問い掛けると微笑みを浮かべながら「君は私の友人だからね。
「だが、既に景はオレの手元にいる。それに時間を止めればお前は追うことも出来ない。そうだろう?日本最古のホムンクルス、ドクトル・バタフライ」
「生憎、まだ変態して十年未満だ」
「安心しろよ。あんたは不死身だろ?」
「慢心は身を滅ぼす。故に、君は間違えた」
「は、ぶえ゛っ……ああ、成る程、体内にチャフを送って切り裂いたわけね。メタリカっぽいことしやがって、マジでスゲェなあ」
そう言うと楯敷君は楽しそうに笑い、裂けていた喉も飛び散っていた血も跡形もなく消えていた。これが、私の子供から奪った力?