身体を突き破るチャフの傷を治す楯敷君を押し退け、瓦礫やガラスの飛び散った床に落ちる前にススハムが助けてくれ。私は怪我を負わずに済んだけれど。
不老不死と超速回復では勝負は着かない。
「時間停止に合わせて、身体の固定化。熟天才だよ、ドクトル・バタフライ」
「なに、蝶・超人たる私の頭脳に匹敵し得るのは糸色君だけさ。他の転生者も中々にユニークではあるが、彼女ほどセンスの合う友人はいない」
「ファッションセンスのことか」
「アレはどっちも直しなさい」
ドクトル・バタフライの服はどれもハイカラでオシャレだと思いますけど。やっぱり他の人にはダメなように見えているのかしら?
そう思う私の方に手を伸ばすドクトル・バタフライと楯敷君の手を弾き上げ、二人に蹴りを見舞う不破信二は狂喜に染まって煌々と輝く兇相を向ける。
「ススハム、離れてな。コイツらは俺が倒す」
「……相手は楯敷だけにしなさい」
「断る!」
不破信二は嬉々として叫び、修羅の業を使って時間停止を使用する楯敷君と蝶・超人のドクトル・バタフライを攻撃していく。
時間停止さえも上回る圧倒的な手数の多さ。
さっき楯敷君の話していた時間停止を使用できるのは数秒程度───不破信二は、その数秒さえ飛び越えて意図も容易く楯敷君の事を捕らえた。
「ラッ!!」
「ぐっ、空条承太郎かお前はッ!!」
「俺の方が万倍強いぜ、ライダー!」
時を止めて攻撃しても迫り来る修羅はある意味恐怖その物でしょうね。元々不破信二はあらゆる局面に対応する戦闘を想定して戦っています。
圧倒的な『暴』を搭載した理性ある大人というのは恐ろしいものです。正直、話したこともあったことも無かったら話しませんね。
血を吐いて瞬時に回復する楯敷君。血を吐いて尚も踏み込み、更に攻撃を見舞う不破信二。ドクトル・バタフライは受けた傷の修復を完了し、二人の間に割り込み、楯敷君の事を殴り付ける。
あまりにも恐ろしい光景に顔を背け、ススハムに身体を預けるように抱きつく。怖い、三人とも人間なのかと疑いたくなるような戦い方です。
「(左之助さん、左之助さん、とても怖い…)」
「全くこれだからバカは嫌いなのよ。相楽カッケマッ、さっさと帰るわよ」
「……帰るって、何処なんですか?ここ」
「さあ?どこか走れば着くわよ」
そう言うとススハムは素早く駆け出し、楯敷君の事を力強く踏みつけると私を抱き抱えたまま走る。ドクトル・バタフライには申し訳ないですが、こうしてもらえるのが一番嬉しいです。