ススハムに抱きついて比較的に安全な場所まで移動しているとき、私は溶けるように移ろう景色の最中、不自然に止まって見えた黒い物体がススハムの足元を貫き、嫌な気配を発する。
「……
「ひっ」
蜘蛛のような頭を揺らす怪人に小さな悲鳴を上げる私を優しく地面に下ろし、軽くストレッチを始めるススハムに困惑しながらも見つめてしまう。
まさか貴女まで怪人と戦う気なんですか?
「相楽カッケマッ、いきなりで悪いんだけど。アタシの言葉をグロンギ語に翻訳とか出来る?」
「え?あ、えと出来ます…!」
「じゃあ、宜しく。とっとと失せろゴミカス!」
「そ、そんな下品なことを?い、いえ、やります!ドドドドグゲソ、ゴリバグ」
中指を突き立てるススハムを注意しようとした刹那、私に向かって飛んできた蜘蛛の糸をドクトルに貰った守りの懐剣の結界が防いでくれたものの。どうして、さっきは楯敷君から守ってくれなかったのかと悩む。
「相楽、アイツの種類はグロンギなんだろうけど。アタシの蹴りで倒せる?」
「多分、可能ではあります。でも封印エネルギーもなしに戦うのは不利ですよっ、せめてユウスケ君が居てくれたら良いんだけど」
「あんまり嘗められるとムカつくわね。相楽カッケマッ、貴女にも見せてあげるわ。世界さえも置き去りにする神速の蹴りを」
そうススハムが宣言すると同時に彼女の姿は消えてしまった。いえ、私の目の前には未だに彼女の残像が残っているのが見えます。
蜘蛛のグロンギが動き出した瞬間、彼の身体は宙に浮かび上がり、月明かりに照らされた白い閃光が多角的な軌道で彼の身体を蹴り付け、木々のしなりを利用して、また蹴りを食らわせる。
「
「誰がクワガタですってぇ!!」
更に苛烈すぎる多角的な蹴撃の嵐に飲まれ、グロンギの呻く悲鳴が聴こえ始める。加速する衝撃ほど強固な武器は存在しない。
音速を超えて神速に到達する蹴りの破壊エネルギーは凄まじく、グロンギの身体は歪で惨い音を立てて骨子は粉々に砕ける。
これはもう人間の業じゃない。
「吹っ飛べ、蜘蛛野郎!」
最後のトドメとばかりに足が大量に見えるほど凄まじいキックのラッシュを叩きつけ、地面に向かって蜘蛛のグロンギを蹴り落とした。
「……なんですか、いまの」
「何って、
ゆりかご?と首を傾げながら彼女を見る。