「そういえば携帯電話あるなら光写真館に電話すれば良かったんじゃないの?」
「いえ、既に試しているんです。でも、ノイズばかりで私の声も向こうの声も聴こえないんです」
私の言葉に苦虫を噛み潰したように顔をしかめるススハムは走ることを止めて、ゆっくりと後ろに振り返ると知らない男の人が立っていた。
「予想していたけど。アンタ、楯敷ツカサ側に付いた二人目の協力者であってるわね?あんたは怪人?それとも仮面ライダーに変身でもするわけ?」
ススハムがそう言うと木々の影に立っていた男の人は静かに歩きだし、私達のほうへと近づいてくるのが見え、警戒する私達の目の前に新しい人影が飛び出し、力任せに男の人を蹴り飛ばした。
「門矢君?」
「よう。電話掛けていたろう?全く世界が一つ違えば携帯電話もオーパーツの一種だな。…それで、あの薄気味悪い男は怪人か?」
「まだ変身も何もしていないわ。多分、生身で迫っていたのは何かしら理由がある」
「成る程、ネガの世界と同じ理屈か」
門矢君は簡単に納得しながらディケイドライバーを腰に装着し、ゆっくりと手慣れた動きでライダーカードを引き抜き、バックルに装填する。
「変身!」
KAMEN RIDE DECADE
黒と白、マゼンダ色のボディーに緑色の複眼を持った仮面ライダーディケイドに変身した門矢君の姿を見つめ、やっぱりダークディケイドと瓜二つな見た目に身体をビクリと強張らせる。
「あら、桃色なのね」
「マゼンタだ」
「間違えちゃダメですよ、ススハムさん!」
そうススハムに私は焦りながら注意すると「いや、だってピンクだもん」と言われ、なんと言えば良いのかと悩みつつ、チラリと門矢君を見上げる。
左之助さん、私は頑張っています。
とても怖くて気を失ってしまいそうですが、なんとか頑張っています。だから無事に帰ることが出来たら抱き締めてほしいです。
「さて、お前の番だな」
まるで試すように告げる門矢君の言葉に困惑していた刹那、ススハムと私の間をすり抜けるように月明かりが不自然に彼に集まる。
「オレの目的はお前だ。門矢士」
「へえ、オレが目的ならコイツらを襲う必要はなかったんじゃないか?」
「糸色景はツカサが欲しがっているだけだ。ススハムという女はオマケみたいなものだ。強い怪人になるかもしれないのは認めるがな」
「はあ?なに勝手にアタシを改造するとか決めてるわけ?ふざけんじゃないわよ、アンタの頭千切れるまで蹴っ飛ばすぞ!」
こ、こわいっ…!