左之助さんとススハム、門矢君と一緒にドクトル・バタフライ達の戦っていた場所に戻ると、屋敷は半壊し、瓦礫を吹き飛ばして戦う三人が見えた。
「ダハハハハッ!!!」
その三人の中で狂乱したように嗤い、ドクトル・バタフライも楯敷君も関係なく殴り付け、蹴り飛ばし、投げ落とす身体の一部が僅かに異形に変わり始めている不破信二が狂気を纏っていた。
額に二つの角が生え、着物は歪な鎧に変わっている。鬼、あるいは修羅が如き風貌に私は顔を逸らし、左之助さんの背中に身を縮めてしまう。怖い。ただ、ひたすらに闘争に明け暮れる修羅の姿に身体が震える。
あれは、外道堕ちじゃない。
妖怪変化。人の身を捨てて、鬼に成ろうとしている最中です。生成りとも呼ばれる現象を不破信二は戦いに没頭しすぎる余り引き起こしています。
「死合おうぜ、お前らァ!!」
「チィッ…!どの時代の不破も面倒臭い!!」
「信二君ッ、意識をしっかりと保つんだ!」
拳を振るえば空気が悲鳴を上げ、一歩踏み込めば地面は砕け、不破信二の身体その物が一撃必殺の武器足り得てしまうという現状に私は目を瞑りたい。
そう思いながらと木の影に降ろされ、左之助さんの無事を祈ることしか出来ない。
彼の力を封じ込める技があれば良いのにと唇を噛み、何か使えるものはないかと抑圧・制御を受けている『前世の記憶の保持』を使い、使えるものを探す。
不破信二の強さは人の領域を越えています。
「止まれっ!信二!!」
「何だァ?左之助が俺と死合うのか!!」
左之助さんが不破信二を羽交い締めにして押さえつけようとしたその時、更に肉体が変質して不破信二の顔は鬼面の様な物に覆われていく。
「ぐうッ、テメェいい加減に離れろ!」
「離れるわけねえだろ!?景、何かコイツを止める方法はねえのか!」
「い、今考えています…!」
私の名前を叫ぶ左之助さんに手を上げ、そう応えると同時に楯敷君が私に向かって走ってくる。が、ススハムさんが彼の顔を横蹴りで吹っ飛ばし、私を守ってくれる。
「時間停止、もう使えないみたいね」
「糸色君、策はあるのかね」
「モヂカラで彼の記憶を呼び起こします」
『青』と『争』のモヂカラを一つに束ねて『静』のモヂカラに変化させて、ゆっくりと左之助さんと殴り合っている不破信二に向かって送り出す。
そのモヂカラを彼は避けることなく受け止めた瞬間、角は消えて、鎧も崩れ落ちて人の姿に戻ったのにまだ左之助さんと殴り合っています。
「……アイツ、最初から正気だったんじゃないの?」
え?いえ、そんなはず……。