「もっとだッ、もっと俺を見ろオォォォッ!!!」
「テメェ、いい加減にしやがれ!」
とうとう左之助さんも蛮竜を呼び寄せて不破信二の拳を防ぐ───けれど。拳と刀身が接触したゼロ距離の間合いで不破信二の拳が爆ぜる。
「ぐぬおっ!?」
「……寸勁か?」
ポツリと呟く楯敷君の言葉にみんなの視線と警戒心は集まるものの、既に傷だらけで時間停止能力も使えず、ドクトル・バタフライの武装錬金でドライバーも使えない楯敷君は静かに座っています。
ですが、彼の呟きは正解です。
正確には圓明流の両家に在る超至近距離で放つ最大火力の打突技の「虎砲」です。あれだけ猛り狂っているのに不破信二の業の鋭さは増しているようにすら思える。
左之助さん、無事に帰って来て下さい。
「熱風!!」
瓦礫と半壊した屋敷の一部を消し飛ばす一撃を繰り出して、不破信二の事を倒そうとする左之助さん。私達も今の攻撃で倒せたと思っていたのに、身体中に切り傷を作った修羅が飛び蹴りを放つ姿が見えた。
「効かねえなァ!!」
「熱風の中を突っ切って来やがったのか!?」
ガンッ!と蛮竜の刀身を踏みつけ、空に跳ね上がると両足をずらして二連続のかかと落としを繰り出す不破信二の姿に血の気が引く。
「斧鉞です!左之助さん、受けないで…!」
「あとで知ってる理由吐かせる!」
私の方にまた視線が集まる。
お前はどうして重要そうな事を知っているんだという懐疑的な眼差しから視線を逸らし、荒々しく二連続の蹴りから、五連続の蹴りに不破信二は動きを変化させる。
左之助さんは蛮竜を盾にすることで攻撃を防いでいるけれど。身体は後ろに少しずつ押され、瓦礫のせいで足場がどんどん悪くなっている。
「カカカカッ…!やっぱり強えぇなァ…」
「信二、正気に戻ってんだろ。オレは景を安全なところまで連れて帰りてえんだ。テメェに構っている暇も時間も正直惜しいんだよ」
「……そういやそうだったな。俺はお前と死ぬときまで戦いてえんだが、そうだな。人生に退屈したら俺と死ぬまで殺しあいをしようぜ」
そう言って笑う不破信二に左之助さんが興味を惹かれかけているところへと私は目尻に涙を溜め、ふらつきながら左之助さんの腕にしがみつく。
「だ、ダメです、左之助さんは私の夫です」
「……妬いても何もねえぞ?男同士だ」
そ、それでも左之助さんが他の人を見るのはイヤです。最後まで一緒に居てほしいんです。怖くても恐ろしくても大好きな左之助さんは渡しませんっ。