某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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一抹の不安を残して 序

あの夜から一週間が経過し、左之助さんの怪我も動ける程に治って光写真館に挨拶に向かおうとしたけれど。赤べこの隣に建っていた筈の光写真館は消えていた。

 

既にこの世界での役目を終えて、新しい世界に行ってしまったのでしょうが、まだ色々とお話も出来ていなかったので残念です。

 

「おろ?糸色殿も買い物でござるか?」

 

「緋村さん、こんにちは。いえ、お買い物するときは左之助さん達と一緒にしようと約束を結ばれまして、今日はしとりとひとえと一緒に甘味処でお昼です」

 

「そうでござったか」

 

私の言葉に納得するものの、僅かに怪しむ緋村剣心。七年か八年近く親しくしているのに、未だに私の事を怪しむのは止めてほしいです。

 

そう言うのは受ける方も辛いんですよ?

 

まあ、彼の私を怪しんでいる態度には慣れないけど。慣れることが出来るように少しだけ頑張っている。でも、やっぱり疑われたり怪しまれるのは悲しい。

 

しかし、本当に何でまだ怪しむのでしょう。

 

「ん!おじさま、母様いじめちゃめっ!」

 

「おろぉ……虐めてはないのでござるよ」

 

「じーしゃま、だめなの?」

 

「おろおぉ…」

 

しとりとひとえに言われて困っている緋村剣心の姿にクスクスと笑ってしまう。この人の二面性は怖いけど、子供にはずっと優しいままだから安心です。

 

「二人とも私は虐められていませんよ。緋村さんは私の……私の、何なんでしょう?」

 

「ムッ。確かに、拙者と糸色殿はあまり長く語らった事は無いでござるな。いつも薫殿か左之が近くに居ることが多く…」

 

言われてみれば確かにいつも一緒の人が近くにいないですね。左之助さんと薫さんが意図的にそんなことをするわけがありませんし。

 

多分、ほとんど偶然ですね。

 

「…………お友達の夫?」

 

「…………親友の妻か?」

 

うん、どっちも同じですね。

 

「まあ、お友達ですね」

 

「そうでござるな。しかし、十も近くに離れた友とは些か気恥ずかしい」

 

「そうですか?」

 

私はお友達が増えるのは嬉しいけど。緋村剣心はお友達に気恥ずかしさを感じるのでしょうかと首を傾げ、お団子を食べるひとえの口許を拭いてあげる。

 

「おじさま、いいこ?」

 

「良い子ではござらんなあ」

 

ハハハと頬を指で掻く緋村剣心から顔を逸らして、私は何も教えていないですという意思を示しつつ、しとりの興味を惹いてしまったことを喜ぶべきです。

 

咽び泣いても良いですよ?

 

「かーしゃま、だっこ」

 

「フフ、いいです。どうぞ♪︎」

 

ゆっくりとひとえのことをお膝の上に乗せてあげ、一緒にお団子を食べる中、しとりは電光丸を鞘に納めたままジリジリと緋村剣心に詰め寄っている。

 

 

 

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