二ヶ月以上も開けてしまったため、埃や汚れの溜まった我が家の掃除を行いつつ、祝言を挙げる日取りを私は左之助さんと話し合っている。
出来れば左之助さんの家族も呼んで上げたいけれど。左之助さん本人が実家の場所を忘れているから、祝言の準備を進める合間に伝を頼ろうということになった。ただ、その前に雪代縁の襲撃を警戒しないといけない。
彼の目的は緋村剣心への復讐だが、あの蒸気船で私を見つめる視線は少しおかしかった。まるで、何かを求めるような、妬ましさが見え隠れしていた。
「オレの家族もだがよ、景の家族は呼べるのか?」
「……私の両親…ですか?…」
「おう」
あの人達を呼べというのか。
確かにあの人達は今世の両親ではある。が、あの人達を呼んでしまったら大変な事になるのは想像しなくても分かるほどに厄介な人達だ。
まあ、特に両親と蟠りは無いけれど。
兎に角、あの人達は大変に厄介なのである。
「左之助さん、私の名前を言って下さい」
「ああ、糸色景だろ?」
左之助さんは当たり前のように私の名前をフルネームで答えてくれた。文字にしなければ分からないかな?と思い、和紙に墨で名前を書く。
「では、これは?」
「絶景。いや、糸と色が離れてるし、でかいな」
「……これが私の名前です。そして、私の両親の名前を書いてみましょう」
ゆっくりと『糸色景』の下に二人の名前を書く。
「絶頂と絶世?」
「『
そうっと私は視線を逸らす。
父親は自分を世界一の美丈夫だと毎日のように公言し、母親は名前を繋げて呼ぶと「薙刀を持てぇ!」と騒ぎ、何度門下生を殺し掛けたことか。
下手したら御庭番衆より濃いんですよね。
「…………なんか見たくなる話だな」
「会いたいなら、今度行きますか?私の実家」
「おお、楽しみにしてるぜ!」
私の提案に左之助さんは嬉しそうに笑った。……そういえば今まで一度も私の家族関係を話したことがなかったような?まあ、深くは考えないことにしよう。
しかし、無事に祝言を挙げることは出来るのかな。
なにより雪代縁には、六人の同志がいる。此方は左之助さん、緋村剣心、明神君、四乃森蒼紫、斎藤一、この五人だけだ。必ず一人が連戦することになる。
「……あっ、そういえば左之助さんにお話しておこうと思った事があるんでした」
「なんだ?今日の晩飯か?」
「それは豚カツにしようかと。……いえ、そうではなくてですね?斬馬刀の代用品になりそうなものを偶然にも譲って貰えたんです」
「おお、本当か!!」
「本当ですよ。その、私ひとりだけじゃ持ち上げられなくて、左之助さんのお友達に手伝って貰ったんです。倉の中に仕舞ってあるので良かったら……」
私が話し終わる前に倉に走っていく左之助さんの顔は新しい玩具を買ってもらえた子供のように無邪気で、どこか心が温かくなる気持ちになる。
「喜んで貰えるかな、あの蛮竜を」
見つけたのは本当に偶然だったけど。
あれはもう運命としか言えない出会いだった。