酒盛りを解散し、神谷道場に行っていた景達を迎えに行くとお酒を飲みまくって、ぐでんぐでんに酔っ払っている薫達に絡まれている景がいた。
困ったように笑いながら抱きつく旭の頭を撫でて、太股にしがみついて泣き上戸の薫の事をあやす景を道場の入り口で静かに見つめる。
「左之、顔が悪いでござるよ」
「怖いと言え」
そうオレは文句を言いながら靴を脱ぎ、ほろ酔いで頬の赤く染まった景としとりとひとえを抱き上げ、名残惜しそうに手を伸ばす薫達を遠ざける。
オレの女だ。
お前らにはやらん。
友達と遊べると喜んでいた景はクスクスと笑いながら、オレの胸元に顔を埋め、しとりとひとえを落とさないように抱き締めている。
「んふふふ♪︎」
「酔いが醒めても覚えてんだろ。それに剣心達も見てるから止めとけよお?」
「やぁですよ♪︎」
コロコロと楽しげに笑う景はオレの首に抱きつき、蕩けてしまいそうなほどに綺麗に笑みを道場の中に向ける。薫達も酔いとは違う意味で赤くなってやがる。
景の酔った姿を見るのははじめてだったか?と思うオレの視界の端に金色の蝶が舞った。月の中に登っていく蝶を目で追えば大きな蝶が月に浮かんでいる。
見守るのは許可したが、派手すぎるぜ。
「(珍しく景も長く酔ってやがるな……)」
一瞬、邪な考えが頭の中を過るが景が嫌がることをするのはダメだと自責し、猫のように細まった目がオレの事を見上げている。
「…………はずかしぃ」
「ん。目ぇ醒めたか?」
「みんなに見られました。左之助さんな口づけしたのも甘えているところも全部です。恥ずかしすぎて泣きそうです。酷いです、あんまりです」
しくしくと顔を覆う景の泣き顔にグッと来るものを感じるが、気持ち良さそうに眠っているしとりとひとえもいるからと我慢する。
せめて二人っきりだったらな。
「家に帰ったら聞いてやるよ」
「ぜったいですよ」
ぷくーっと童女のように頬を膨らませて不満げに見つめる景の顔を見て、クツクツと笑ってしまう。ここ最近の景の少し素が増えている。
上手く嘘は吐けず、隠し事がある。好きなものに夢中になりやすいし、怖がりで臆病なのに大事なもののために無茶をする。どこか矛盾するクセに惹かれる。
ずっと傍に居てやるからな。
「景も長生きしてくれよなあ」
「……フフ、長生きしますよ。左之助さんと一緒におばあちゃんになるんです。未来の子供達はみんな私達の事を覚えていてくれるから、二度死ぬ事はありませんね」
嗚呼、そうだな。
絶対にお前は死なせねえからな。