不覚です、酔ってしまいました。
しかも左之助さんだけじゃなくて、みんなにも酔っているところを見られていました。少しだけと思っていたのに、二杯も飲んでしまったのがいけません。
むにむにと私の頬っぺたを押してひとえの小さな手のひらの暖かさで冷静さを取り戻しながら、朝ごはんを食べるなり直ぐに稽古に行ってしまうしとりを見送り、珍しく縁側に座って日光を浴びる個魔の方を見る。
「なにしてるのー?」
「ちょっと太陽光発電をしているんだよ」
「(影の妖怪が太陽光発電とは?)」
「たいこ?」
不思議そうに小首を傾げるひとえの事をお膝の上に乗せて、影の中に太陽の光を取り込んでいく彼女の行動に疑問は確かにあります。
「光は強いほど影を深める。夜の闇より私は日中のほうが強いのも事実なんだけど。ひーちゃんに言ってもまだ分からないか」
「むう」
「ひとえはゆっくりでいいのよ?」
そう言って彼女の頭を優しく撫でてあげ、嬉しそうに目を細めるひとえはフンスと自慢するように個魔の方を見上げる。その顔が愛らしくて、私達はクスクスと笑い、彼女の頬っぺたを優しく触る。
まだまだ小さいけど。
大きくなったら、お母さんも個魔の方も色々な教えて上げるから健やかに育ってね。私の『特典』を引き継いで居たら、きっと大変な目に遇うかも知れないけど。
貴女の味方は沢山いるからね。
「……ひとえは何かに見える?」
「?かーしゃまとこまちゃん!」
「母者、まだ分からないからな?」
「ちゃんと分かってますよ。ひとえは」
しとりの事も左之助さんのこともよく見ているし、なにより私の見ていることや知っていることを『特典』によっては一番理解できてしまうのはひとえです。
大事な娘姉妹です。
二人とも可愛くて愛しています。
だからこそ二人を狙っている人も組織もあることは理解しているし、錬金戦団や奈落、ひょっとしたらオートマータとも敵対する可能性だって有り得てしまう。
それは、とても怖いことです。
「かーしゃま、えらいねぇ」
「逆転してるわよ、母者」
「えと、あはは……ありがとう」
恥ずかしいけど。嬉しいものです。
「ゆっくり大きくなって下さいね」
「あい!」
「フフ、良い返事です」
よしよしとひとえの頭を優しく撫でていると日光浴を続けていたはずの個魔の方も私の方に頭を差し出してきたので、優しく同じように撫でてあげる。
良い子、良い子、二人とも仲良くしてくださいね。どんなときでも家族は仲良しが一番なんです。