某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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妹愛者 序

糸色姿。私の実兄であり世界を自由に旅する冒険家や探検家など様々な呼び名を持つ彼の目の前に座って見上げるしとりとひとえの眼差しは違和感です。

 

「今日のご用件は?」

 

「妹の安否を見に来ただけだよ」

 

そう言うと姿お兄様は当たり前のように用途不明の骨董品。机の上に置いていき、シャチホコを見つめたまま動かない姉妹の肩を揺さぶる。

 

「ん!んーー!」

 

「んへへぇ」

 

いったい、何故でしょうか。

 

しとりとひとえはすごく楽しそうにシャチホコを見ているだけで全く反応してくれません。曰く付きの代物を持ってきたと考えるべき? 

 

いえ、そもそもこのシャチホコは何?

 

グルグルと頭の中を回転する嫌な想像を掻き消し、ショドウフォンを開いて『封』の文字を直接書いた瞬間、シャチホコは手のひらサイズまで縮んだ。 

 

「……(バケモノ)器物ですね、姿お兄様」

 

「うん。正解、鎌足の家に生えていたんだ」

 

群生地のように言うものではないですね。

 

「知っているかい?シャチホコは家を守る役瓦の一種なんだよ。火事になった際には水を吐くらしくてね。俄には信じられないものさ」

 

「もっと言えば火伏せという霊験です。火の力を鎮める力を有しているものですから、私達にとっては力を弱める守り神ですね」

 

道理で家に張っていた『防』『守』のモヂカラが激減しているわけです。こんな代物が有ったら私もしとりもひとえも力は弱まるばかりです。

 

姿お兄様の事ですから善意によるものなのでしょうが、ここ数週間ほど前に家に乗り込もうとする悪の秘密結社を退けたんですよね。

 

すうっと二人の視線を隠す。

 

「ん?ん!ぽわぽわきえた!」

 

「んぇえ?」

 

「私は眼鏡のおかげで掛かることはなかったんでしょうね。二人とも裸眼ですから。そもそも姿お兄様はどうして平気なんですか?」

 

「僕?普通に慣れただけだよ」

 

そういうところで高性能のスペックを見せつけるのはどうかと思います。私だって見ているだけで辛いので、早くシャチホコを風呂敷に包んでください。

 

「……もう大丈夫ですよ」

 

「ん!母様、ありがとう!」

 

「かーしゃま、ありがとお」

 

「フフ、お礼を言えるのは良いことです。姿お兄様も持ってきてくれたのにごめんなさい」

 

「いや、僕の失敗だね。他にもあるけど、そちらも見てみるかい?」

 

さっきのシャチホコの件を直ぐに忘れて、新しいものを取り出す姿お兄様に少し苦笑を浮かべつつ、しとりとひとえはワクワクしている。

 

とても可愛いですけど、あまり危ない事はしないでくださいね?

 

 

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