左之助さんと姿お兄様の口論は続いています。ただの口喧嘩ではなく私の体調に関わることばかりで、あまり偉そうに言えないのです。
「で、その秘薬ってのは何だ」
「左之助、かぐや姫伝説を知っているのか?」
「……なんか聞いたことはある」
「この宝物を見つけたときに気付いたんだ。日本に残っている伝承を探れば実在するモノを見つけることが出来るんじゃないかってね」
まるで夢物語を語るように話す姿お兄様と期待を込め始める二人の意識を戻すため、パンと一度だけ柏手を打つと二人の意識は私に向く。
プレシャスを探すのは自由です。ですが、左之助さんも姿お兄様も子供が居るんですから、危ない事は控えてくださいね?
「景、これはお前のためで」
「お兄様、私は不死になるつもりはありませんよ」
「…あるんだな。その口ぶり、やっぱり不死を授ける薬はあるんだな!景、どこに行けば見つけることが出来るのかを教えてほしい!」
そう私に向かって懇願する姿お兄様から顔を背け、私は何も知らないという態度を取る。しかし、姿お兄様は私の癖を知っているため必死に顔を見てきます。
私の事を大切に思ってくれるのは嬉しいですけど。あなたが一番優先するべき人は私ではなく鎌足お義姉様です。こういうことはやめてください。
「景は頑固だから無理だぞ、姿」
「はあ、知っているよ。全く母さんに似すぎているのがよくわかった。僕は帰るけど、あまり景にキツいことや大変な事はさせないでくれよ?」
「おお、がんばる」
「左之助さん?」
私の手を握る左之助さんに首を傾げつつ、帰っていく姿お兄様を見送る。しとりとひとえはお兄様の置いていった風呂敷を開き、風呂敷の中身を見ている。
「(ボウケンジャーも繋がっている?映画の事を考えると可能性はあるけど、そうなると他の戦隊も加わることになるわけですけど)」
「……なんだこれ笛か?」
「左之助さん、それは触らないで下さい」
そう笛を手に取った左之助さんに告げ、ゆっくりと笛を受け取ろうとするも遮られる。
「何か面白い事でも起きるのか?」
「……人を操れる道具です。糸色家に送って保管して貰おうと思っています」
「人を操る!?…………コイツを吹けば景が嫌がっても素直に従ってくれるわけか」
そんなことしたら本当に怒りますよ。
よくある「実家に帰らせて貰います」をしますからね?しとりとひとえも連れて帰って左之助さんをずっと警戒しますからね。
「まあ、冗談だけどな」
「九割ぐらい本気でしたよね」
「当たり前だろう?」
そういうところですよ、もうっ。