某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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こっそりと 破

左之助さんには困ったものです。

 

そう首筋を隠すようにマフラーを巻いて、満足げに私の事を頬杖を突いて私を見つめる左之助さんに「あんなことしちゃダメですからね?」と伝える。

 

しかし、私の言葉に左之助さんは「あんなことって言われても分からねえなあ?」とほくそ笑みながら、私の指に指を絡めるように握ってきます。

 

「いやだったか?」

 

「…………知りませんっ」 

 

フンと顔を逸らしてお庭で竹刀を振っているしとりを見据える。彼女も剣路君と何かあったのかコソコソと茂みに隠れた彼が様子を窺っている。 

 

しとりも気付いているのに、敢えて無視していますし。私達は口出しするのはダメですね。左之助さんはそちらにも珍しく笑顔を向けている。

 

多分、左之助さんはしとりと剣路君の喧嘩を喜んでいるのでしょうが、子供は素直ですから直ぐに仲直りしますよ。ふつうにお友達ですよ?

 

「景、剣路のヤツが庭に居る」

 

「ご近所さんですからね」

 

「良くないだろう。しとりを狙う害……敵だぞ」

 

「(がい?まさか、害虫?いえ違いますよね)敵じゃなくて、幼なじみです。嫌いだったらしとりは嫌がりますから、私に似て意外と警戒心もあるんです」

 

「臆病なのも美点だと思うぞ」

 

それは、褒めているのでしょうか。

 

そう思いながらもひとえの投げる石を弾き、突き、払うしとりの太刀筋は薫さんにそっくりです。真面目に稽古に励んでいるのは聞いているので、彼女の成長をとても嬉しく思う。

 

それにしても、です。

 

二人は何であんなにすれ違っているのか。 

 

母親としてはすごく気になるのですが、左之助さんは剣路君が話しかけようとする度、威圧しているように感じてしまう。 

 

「しとりは剣路の何処が良いのかね」

 

「(……少しひねくれているところ?)」

 

私は左之助さんの事は基本的に全部大好きですけど。改めて考えると一番好きなのは彼の手かも知れない。ずっと私を引っ張って守ってくれる手が、私は大好きです。

 

こんなことを本人に言ったら、余計に破廉恥な事をしようとしてくるでしょうから、絶対に教えるつもりはないですけど。

 

「オレは景が好きだぜ」

 

「私も左之助さんが大好きです」

 

そう言い合ってクスクスと笑う。

 

けど、俗に言うバカップルならぬバカ夫婦なのでは?と考えることもあります。が、愛情表現を怠るなんてきっと私達には出来ない。

 

まあ、そういうところが大人になったしとりとひとえにウザがられる可能性もありますから、もうちょっとだけ押さえてほしいなんて思いも……。

 

 

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