「景、景、景」
私の後ろを着いて歩く左之助さん……っぽい妖怪を無視して移動していると目の前を歩く本物の左之助さんと目が合うと同時に私の真横を突き抜け、左之助さん……っぽい妖怪を思いっきり殴った。
倒れた左之助さん……っぽい妖怪の頭をサッカーボールを蹴るように蹴りあげ、掻き消した左之助さんは不満そうに不服そうに振り返ってきます。
ペタペタと少し背伸びをしながら彼の顔を触る。
「また変なのに絡まれてるのか」
「うん、ちゃんと本物ですね」
「当たり前だろ」
そう言うと左之助さんは私の隣を歩こうとした瞬間、さっきまで出ていた左之助さん……っぽい妖怪の私バージョンが現れ、面倒臭い事になりました。
しかし、本当に私達を真似る相手は珍しい。
影法師。陰鬼。他にも呼び方はありますけど、影が本物に取り変わろうとする妖怪です。私達に現れたのは、ただの生き霊のようにも思えますけど。
流石に左之助さんが固執し過ぎに思える。
「景、何なんだコイツら?」
「生き霊、みたいなものです」
「生き霊ねえ…」
チラリと後ろに振り返った左之助さんは二人の肩を掴み、お互いに向き合わせると。なぜか反対方向に向かって歩き出してしまった。
「おお、上手くいったな」
「生き霊同士をくっ付けたんですか?」
「元々オレ達から出たなら相性抜群だろ?」
「……おばか」
ニヤニヤとわざとらしく私の反応を確かめるように、そんなことを言う左之助さんから顔を逸らして、ちょっとだけ熱くなる顔をパタパタと扇ぐ。
本当に狡い人です。
そう内心で思いながら左之助さんの事を見上げると目を細め、私の事を静かに見つめていた。一々、本当にやっていることが格好良すぎるんです。
「手」
「ん?」
「手、つなぎたいです」
「……ク、ハハ、畏まって言うことか?」
私の言葉にケラケラと笑いながら大きな手を重ねて握ってくれた左之助さんに気恥ずかしさを感じながら、そもそも好きな人と手を繋ぐのは良いことです。
……やっぱり恥ずかしいのでしょうか?
そう少しだけ不安になりつつも左之助さんと手を繋ぎ、一緒に帰っていると剣路君とお団子を食べているしとりを見つけ、微笑ましく思う私の隣で左之助さんはものすごく怒っている。
「あのクソガキが親の居ないときを狙いやがって、絶対に泣かす」
「子供に何するつもりですか、まったく」
「景は良いのかよっ。あのクソガキにしとりが娶られたらオレは泣くぞ!?」
「……薫さんのお子さんですし」
信用も出来ますよね。