夏を迎えて、活発化する妖怪や幽霊、外道衆の活動に辟易とする志葉様達へ暑中見舞いの氷菓子を贈り、氷室に溜めていた氷塊をガリゴリと削り、ガラスのお皿にかき氷を積もらせる。
贈り物のリンゴを擂り卸し、砂糖と一緒に煮詰めたものを冷やしたシロップを掛けて、しとりとひとえの前に置き、お洒落のために日中でも耐える久保田さんにもかき氷を作ってあげる。
「はい。どうぞ」
「ん!ん!ん!」
「んー!」
「あまぁ…♪︎景ちゃんさん、マジで天才!氷室の氷って腐るの防ぐ以外にも価値あったのね。帰ったら阿爛と明日郎にも作ってあげようかしら?」
パタパタとスプーンを握る手を振って初めてのかき氷に興奮冷めやらぬひとえの隣で、大きく目を見開いて頬っぺたを押さえてリンゴのシロップに笑みをこぼすしとりを見つめる。
そろそろどちらかと籍を入れても良いのでは?と思うぐらい三人仲良く長いこお一緒に同居生活を続ける久保田さんを見る。
「これ、商売に使えるのかも?」
「夏なら需要はありますね。冬になったらかき氷ではなく切ったリンゴを酢や砂糖で漬け込み、白湯に混ぜて売るというのも良いですよ」
「ああ、りんご酢ってヤツね。北海道で阿部のオジサンがよく作っているのを見たから覚えているわよ。なるほど、確かにりんご酢なら、そうっ!?」
シャクシャクとかき氷を食べながら考え込んでいた久保田さんが頭を押さえて後ろに倒れ、しとりとひとえも頭を押さえてジタバタと可愛らしく足を動かす。
「あ、頭に痛みがぁ…!?」
「フフ、一気に食べ過ぎたからですよ。かき氷は美味しいからって食べ過ぎると身体を冷やすし、一杯か二杯がちょうど良いんです」
「ん、まだ、たべる!」
「ひーもっ、たべう!」
目尻に涙を溜めてかき氷を食べようとするけど。
また頭が痛くなるんじゃないかと警戒して、食べるタイミングを失ってしまったしとりとひとえは雛鳥のように口を開けて、スプーンに乗ったかき氷を見つめている。
「ねえ、景ちゃんさんは食べないの?」
「食べますよ?左之助さんと一緒に」
「ああ、うん、そうよね。はぁーーーっ、私にも社長みたいに良い男が居たら良いのに」
そう言って、ごろりと寝転んだ久保田さんを覗き込むように一回り、また背丈も体躯も大きくなった長谷川君と井上君が笑顔で彼女の事を見下ろしている。
「オウ。どういう意味だ?」
「旭は冗談が下手だな、浮気かい?」
「あ、あははは、仕事は?」
「「今日は宴会だ」」
そういえば左之助さんは清国の人が交易に来ているから、そっちの人達と親睦を深めたいとか相談されていましたね。左之助さんは清国にイヤな思い出もあるみたいなので、ちょっと避けているけれど。