「ナー!ナー!シー!」
「なっちゃん!」
しとりとひとえを連れて動きやすい作務衣か勘兵衛を作ってあげようと呉服屋で生地を選んでいたとき、大きな風呂敷を抱えて歩くナナシ連中がいた。
雰囲気や気配はしとりと仲良くしているナナシのようですが、その大きな風呂敷は何なのでしょうか?と小首を傾げつつ、彼の行動を見つめる。
「ん!ピカピカの石!」
「ねーしゃま、ずゆい」
「ナ!ナ!」
自分は貰えないと思って、しょんぼりとするひとえにナナシは綺麗な石……宝石にも見えるけど、霊的な力を発する小さな水晶を覗く。
「(妖怪ウォッチの『ふしぎなビー玉』もこういう物を研磨して加工した物なのかしら?)ナナシさん、娘達にこんなに綺麗な物をありがとうございます」
「ナ!?ナー!」
彼にお礼を伝えると慌てたように手を振ったり頭を振ったりと必死に何かを伝えようとしているナナシが綺麗な石の一つを手渡してくれた。
どうやら私にもプレゼントだったようです。
「貰って良いんですか?」
「ナー!」
ウンウンと頷いたナナシは風呂敷を閉じると何処かに行ってしまった。一体、なんだったのでしょうか?と思いながら、私は着物の生地を選別を再開する。
二人とも活発だから、色々と動きやすくて頑丈な生地を探す。一番は「虹の反物」だけど。既に二人のリボンや帯の素材に使っています。
「糸色ッ、ここにナナシが来なかったか!?」
「志葉様?確かに、来ましたけど」
「そのナナシは魂を吸い取る石ころを与えているのだが、何故お前達は平気なんだ?」
何故と言われましても、何故でしょうか?
そう疑問を抱きながら私は左之助さんも同じように防ぎそうだと考えてしまう。
「殿。景には邪気を退ける神通力がございます。さもすれば斯様な妖術で彼女の命を刈り取るなど不可能かと存じます」
「ふむ。糸色家の血筋か…」
チラリと姉妹を見る志葉様にビックリしながら、チラチラと此方に視線を向ける池波君の視線は本当にしつこくて鬱陶しい。
「糸色、お前は知恵者だ。時間云々はさておき。お前の強さは良く知っているつもりだ」
「……あの、私は弱いですよ?」
私は素直に伝えると「心の意味だ」と謎の言語なのかと考えるほどに志葉様の怖すぎる理不尽さに私は頬をひきつらせ、気付かれないように離れる。
流石に私は弱いですから、危ないことに巻き込もうとするのは止めてほしいです。こういうことは本当に事前に伝えてもらえるのが一番だ。
いえ、他の事もまた危ないのでしょうね。